ホンダは、小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」が米連邦航空局(FAA)から、型式証明を受けたことを10日、発表した。安全性などの基準を満たしたことが証明され、機体の量産や販売ができるようになる。

時刻表を気にせず自由に移動できるビジネスジェットは、企業経営者や富裕層が多く利用している。ホンダジェットは年内にも1号機を北米の顧客に納入し、2016年は年間50機を生産する。17年以降は年間最大100機まで生産する計画だ。

ホンダジェットは本田宗一郎の夢

飛行機事業への参入は、ホンダ創業者の本田宗一郎氏の夢だった。「世の中にないモノをつくる」という創業者の哲学はホンダジェットにもしっかりと受け継がれている。特徴となるのがエンジンの配置。通常は胴体後部なのに対し、ホンダジェットは主翼の上面にエンジンがある。これによって広い客室空間を確保するとともに客室内の騒音や振動の軽減、空気抵抗の減少など多くのメリットが生まれた。この独自設計は、世界を驚かせた。

残念なのは、日本のビジネスジェット市場が世界と比べて極めて小さいことだ。日本ビジネス航空協会の資料によると、ビジネスジェット機の保有機数は、世界全体で約19,000機。そのうち北米だけで約7割を占め、日本の保有数は100機に満たない。首都圏空港におけるビジネスジェット用の発着枠が少ないことや、厳しい航空規制などが影響している。

中国や東南アジアで急拡大中のビジネスジェット市場

このままでは、「空」を巡る市場から日本は取り残されてしまう。

中国や東南アジアでは国境を超えてビジネスが拡大し、企業や経営者の「空の足」としてビジネスジェットの利用が急速に拡大している。中国では2020年までに現状の約6倍増の1,000機保有する予測が出ており、市場も熱い視線を送る。ホンダとしても中国を含めたアジアの市場がかなり伸びる予測を立てており、成長マーケットを検討調査して、参入する意思を示している。

「空」の世界はさらに進化する

「空」の世界はさらに進化していく。トヨタが「空飛ぶ車」を開発に取り組み、特許を出願したことが明らかになっている。特許のタイトルは、「空飛ぶ車(エアロカー)のための積み重ねられる翼」。車の上部に4枚の翼が搭載され、地上走行時は重ねて収納。そして離陸・飛行時に展開する仕組みだ。

小型ビジネスジェット機は、これまであまり注目されてはいなかった分野だ。しかし、マイクロソフトもグーグルもアマゾンも、はじめは小さな事業からスタートした。こうしたところから次の産業が生まれることは十分ありうる。未来社会・未来産業を切り拓くために、大胆な発想と規制緩和が必要だ。

(HS政経塾 油井哲史)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『未来産業のつくりかた』 大川隆法著

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