年内に改定される宇宙基本計画の工程表案がこのほど公開された。案には、2015年から10年間で最大45基の人工衛星を打ち上げることを目指す計画や、安全保障の重点化、はやぶさ2などの宇宙科学分野についても目標を盛り込んだ。

2日付の日経新聞は、10年間に打ち上げる衛星の数の見込みが立ったことで、「科学界の先見予見性が高まった」とし、長期的な人材の育成につながると歓迎する専門家の声を紹介。ただ、この工程案には、防衛目的で使用する情報収集衛星の数については「基数増」とされ、具体的に書かれなかった。

工程案を歓迎する声がある一方で、毎日新聞は「安全保障に偏りすぎている」、東京新聞は「軍事色が極めて強い」、しんぶん赤旗に至っては「宇宙の軍事利用の暴走」とまで言い、あたかも日本が軍国主義に邁進しているかのように警告するものもある。しかし、中国は、宇宙軍を創設し、衛星攻撃兵器を開発するなど、軍事目的の宇宙開発を盛んに進めている。抑止力を持つためにも、日本は安全保障も視野に入れた宇宙開発を進めなければいけないだろう。

日本政府は今年、集団的自衛権の行使容認や、武器輸出三原則の見直しを行った。これは、アメリカが財政の悪化のためにアジアから退こうとする流れの中、中国の軍事的台頭という危機に対してアジアの平和維持のため、日本への役割が増していることに応えるものだ。日本が情報収集衛星を増やすのも、アメリカが協力を要請してきたからだ。

だが、東京大学など一部の大学には、軍事目的の研究を禁止する内規が現在もあるという。東大は5月、防衛省からの、航空自衛隊輸送機の不具合を究明してほしいという依頼を「『軍事研究』はしないという方針」により断っている。この内規は1959年の安保闘争の最中に、日本国憲法の掲げる「平和主義」という理念に基づいて決められたものだという。

安保闘争の時代から、国際情勢は大きく変化してきた。それに適応するべく、日本は航空・宇宙産業に力を入れ、国防力強化を進める必要がある。平和を求めるアジア諸国のためにも、日本は変化を求められている。(居)

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