安倍晋三内閣は1日午後、集団的自衛権の行使を認める憲法解釈変更の閣議決定を行った。
これを受けて、幸福実現党は声明で、「かねて国防強化を訴えてきた幸福実現党として、日本の安全保障政策が大きな転換点を迎えたことを歓迎します」と発表し、今後も「自分の国は自分で守る」体制の構築及び憲法改正を急ぎ、対中抑止のための戦略的外交を強化すべきと訴えた。
今後は、この閣議決定を実効性のあるものにするための関連法案の整備が進むことが望まれる。さっそく始まっているのが、自衛隊の派遣に一般法を制定するための検討だ。政府はこれまで、自衛隊の海外派遣のたびに特別措置法(特措法)を立法していたが、国会審議に時間がかかるため、国連平和維持活動(PKO)や多国籍軍支援活動などで、自衛隊を海外派遣する際の一般法の制定の検討を本格化させる(1日付産経新聞)。
今回、最後まで自民党と公明党が議論していたのが、集団的自衛権の行使を想定した15の事例のうち、「邦人輸送中の米輸送艦の防護」「国際的な機雷掃海活動への参加」の2項目だった。
公明党は、「邦人輸送中の米輸送艦の防護」では個別的自衛権を、「国際的な機雷掃海活動への参加」に関しては、警察権を行使すれば可能だと主張していた。しかし、米艦は米国籍であり、たとえ邦人が乗っていたとしても、アメリカの領土の一部として扱われるため、個別的自衛権では対応できない。
また、海上自衛隊がペルシャ湾での機雷掃海で実績を上げたが、これは戦闘が終わった後の活動だった。警察権では、戦闘中の活動はできず、この海域で何もできなければ、日本向けの石油の輸送が遅れる事態となり、日本経済は大きなダメージを負うことになる。中東のホルムズ海峡は緊張が高まりやすい地域で、その幅が3kmと非常に狭く、機雷による封鎖が容易。警察権だけでは不十分なことは明らかだ。
長い議論を経て、今回ようやく閣議決定に至ったが、上記のような議論にこだわる日本は、世界を見ても"異常な国"だと言える。アメリカはもとより、世界中の国では、逐一、事例を決めているわけではない。攻撃を仕掛けてくる国が、その事例の隙を突いてくる恐れがある上に、事例をすべて想定しなければ何も判断できない、という無能さを世界にアピールするだけだからだ。
法律は本来、国民の生活を守るためにあるべきなのに、その法律をかたくなに守ることによって、国民の命すら救うことができないのなら、それは"悪法"であると言わざるを得ない。その意味で、今回の憲法解釈変更の閣議決定は当然であり、今後、憲法改正についても急ぐ必要がある。(慧/悠)
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