安倍晋三首相はこのほど、フィリピンのアキノ大統領との会談を行ったが、今回の日比関係を通じて、アジアで求められる日本の役割を再確認する機会となった。
アキノ氏は会談後の共同会見で、「日本政府が他国を支援する権限を持ち、支援を必要とする国のもとに駆けつけることができれば、善良な国に恩恵をもたらすことができると信じている」と語り、安倍首相が進める集団的自衛権の行使容認を支持した。
また、この首脳会談に先立つ24日、アキノ氏は広島を訪れ、フィリピン南部ミンダナオ島で起きた宗教対立をめぐる平和構築セミナーに出席している。
同島では1970年代から、キリスト教徒が多数を占めるフィリピンからの分離・独立を求める、イスラム過激派「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」が政府と対立し、武力衝突を起こしてきた。実は、この40年以上続いた武力紛争の和平プロセスを進めてきたのが日本であり、今回の広島でのセミナーも、和平プロセスの一環として日本国内で開かれたものだった。