ゲジーラ島のカイロタワーから撮影した首都カイロ市街とナイル川。島北部のザマレク地区には、各国の在外公館が所在し、外国人が多く住む。筆者も半年弱在住した。

2020年7月号記事

Report

~「親中経済」と「反中感情」のはざまで~

悩むエジプト

コロナ禍が本格化する前の3月にエジプトを訪れた、幸福実現党広報本部の城取良太氏が、
中国の進出が進むエジプトの今をレポートする。

城取 良太

プロフィール

(しろとり・りょうた)HS政経塾(第1期生)在籍時に中東研究を専攻し、2012年にカイロ・アメリカン大学に留学。現在、幸福実現党広報本部に所属。

アラブ世界で「コロナ中国責任論」の先陣を切ったのがエジプトだ。エジプト人弁護士が4月7日、中国政府に対し、10兆ドル(約1070兆円)の損害賠償を請求したのだ。

世界的に見れば、エジプトでのコロナの感染拡大は目立たないが、イスラム教徒にとって、神聖なラマダン期間中の、モスクでの礼拝や日没後の食事(イフタール)などへの制限は大きな問題だ。

「エジプトでも有名なニュースだよ。中国の責任を追及するムードは民衆の中ではできつつある」と、エジプト在住の友人が4月下旬に現地の状況を教えてくれた。

ただ、中国に対する感情には、民衆と政府とでは大きな隔たりがあるようだ。

次ページからのポイント

新首都に入り込む中国の思惑

新しい独裁者・シーシー大統領

エジプトの未来と日本の使命