中国経済「V字回復」という嘘 【澁谷司──中国包囲網の現在地】

中国経済「V字回復」という嘘 【澁谷司──中国包囲網の現在地】

 

《本記事のポイント》

  •  製造業も貿易も下降傾向
  • 「一帯一路」の債権も回収できず
  •  感染「第2波」に、仕事に戻れぬ農工民たち

 

 

中国国家統計局が4月18日に発表した第1四半期の国内総生産(GDP)は、マイナス6.8%だった。これは1992年以降、中国当局が初めて公表したマイナス成長率である。

 

だが、我が国における一部の中国経済専門家は、同国の経済が底を打って「V字回復」していると公言する。それは本当に正しいのだろうか。

 

 

製造業も貿易も下降傾向

5月3日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、中国公式の製造業購買担当者指数(PMI)は、4月時点で50.8ポイントとなった。これは、3月の52.0を下回っている。

 

また新規輸出注文の分類指数を見ると、3月の46.4から33.5へ大幅低下。景況感が悲観的な領域まで落ち込んだ。どちらも3月の壊滅的な数字からは反発しているが、下落傾向であるのは確かだ。

 

中国メディア「財新」の研究機関マークイットが発表した、中小製造業のPMIに焦点を当てた調査でも、民間企業の景況感が悲観的となっている。4月の指数は、3月の50.1から49.4へ落ちている。

 

それもそのはず。中国経済を支える貿易が大きく崩れているのだ。

 

中国の税関総署が5月7日に発表した貿易統計によれば、今年の4カ月間の貿易総額は1.3兆米ドル(約138.58兆円)で、前年同期比マイナス7.5%。輸出は6782.8億ドル(約72兆3046億円)でマイナス9%、輸入は6200.5億ドル(約66兆973億円)で、やはりマイナス5.9%となった。貿易黒字は582.3億ドル(約6兆2073億円)となり、こちらもマイナス32.6%となっている。

 

今後も世界的な景気後退で、中国の貿易が大きな影響を受けることは間違いないだろう。

 

 

「一帯一路」の債権も回収できず

さらに、中国メディア『金融時報』は今月1日に、以下のような記事を載せている。

 

米ワシントンRWRコンサルティング会社によれば、中国の金融機関が2013年以来、「一帯一路」構想を通じて発行したローンは4610億ドル(約49兆500億円)に達するという。また、米ジョンズ・ホプキンス大学によると、中国は2000年から18年までに49のアフリカ諸国に行った融資総額は1520億ドル(約16兆1728億円)に上るという。

 

中国の国家開発銀行の研究員は「『一帯一路』の融資は対外援助ではないので、少なくとも元本と適度な利子を回収したい」と話している。

 

しかし、「新型コロナ」が世界中に蔓延する中、中国政府が他国から融資や利子を平和的に回収できるかは、大いに疑問だ。

 

 

感染「第2波」に、仕事に戻れぬ農工民たち

さらに本欄でも指摘しているように、中国国内で新型コロナは鎮静化していない可能性が高い。

 

湖北省武漢市では現在、「第2波」が襲って来ている。黒竜江省ハルピン市、広東省広州市、河北省ケイ台市、首都・北京市などでも第2波の発生に戦々恐々としている。浙江省・河南省・湖南省では、中学3年生が体育の時間、マスクをしたまま突然倒れ、死亡したという話もある。

 

こうした中、約2.9億人いると言われる農民工のうち、いまだにその多くが生産現場に戻っていない。中国は、約13億9000万人の人口を抱えているが、そのうち5億6000万人以上が銀行預金ゼロだとされている。彼らは新型コロナの惨状下で、経済的に生き延びる余裕があるのだろうか。

 

 

中国経済「V字回復」のまやかし

確かに、都市の封鎖などで生産活動がほとんどゼロの状態だったことを考えれば、わずかでも経済活動が始まれば、「V字回復」になったと言えなくもない。しかし、それは単なる"言葉遊び"に過ぎないのではないか。中国経済のトレンドは、確実に沈没に向かっている。

 

問題は、一部の経済専門家が、中国当局の宣伝を"鵜呑み"にしている点だろう。中国には、独立したマスメディアがほとんど存在しない。そのため発表される数字は、「大本営発表」となっている。

 

そもそも中国では、民間企業が「国有化」されている。そのため各企業の効率性が失われ、衰退するのは眼に見えている。中国経済のV字回復など、"夢のまた夢"ではないか。

 

アジア太平洋交流学会会長

澁谷 司

(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~05年夏にかけて台湾の明道管理学院(現・明道大学)で教鞭をとる。11年4月~14年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。20年3月まで、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。

 

 

 

【関連書籍】

『P.F.ドラッカー「未来社会の指針を語る」』

『P.F.ドラッカー「未来社会の指針を語る」』

大川隆法著 幸福の科学出版

 

【関連記事】

2020年4月29日付本欄 新型コロナ対策で、中国財界は習近平政権に怒り心頭!? 【澁谷司──中国包囲網の現在地】

https://the-liberty.com/article.php?item_id=17097

 

2020年4月21日付本欄 【新型コロナ】武漢市に2秒で焼ける焼却炉が40台も入った謎【澁谷司──中国包囲網の現在地】

https://the-liberty.com/article.php?item_id=17046

 

「ザ・リバティWeb」協賛金のご案内

「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
「ザ・リバティWeb」協賛金のご案内

YouTubeチャンネル「未来編集」最新動画

タグ: 澁谷司  中国包囲網の現在地  中国経済  貿易  一帯一路  新型コロナ  V字回復  著名知識人  

Menu

Language