《本記事のポイント》

  • 大型減税により恩恵を受けるアメリカ国民
  • 減税第2弾が進行中のアメリカ
  • 弱者を救いたければ、日本も減税路線で国富の増大を

アメリカの景気が活気に満ちてきた。

「2018年の最大のイベントは誰もが実現不可能だと考えていた好景気が実現したことです」

国家経済会議委員長のラリー・クドロー氏は、8月にこう語った。

2018年4月~6月期の実質国内総生産(GDP)は、7月に発表された数値から上方修正され、年率で4.2%増となった。先進国で経済成長率3%~4%が射程に入っているのは、アメリカだけ。

その大きなけん引役となっているのは、昨年末に成立した、10年で1.5兆ドル(約165兆円)の減税を実施するというトランプ政権の大型減税改革(Tax Cuts and Jobs Act)である。

減税の恩恵を受け、米主要企業の2018年4~6月期の純利益(金融含む全産業)は、前年同期より24%増えている。

2四半期連続で、2割超えの増収。これは、リーマン危機後に景気回復を遂げた2010年以来の実績だ。アメリカで全世界の15%の収益を上げるトヨタなどの日系企業にも直接影響を与えている。

ホワイトハウスの発表によると、大型減税が実施された結果、賞与の増加や賃上げ、会社の年金(401k)を増額した企業はこれまでに430社を超え、400万人以上がその恩恵を受けたという。

今後、一世帯あたりの所得は1年で4000ドル(約44万円)増えるという試算もある(The Council of Economic Advisersによる)。さらに失業率も4%を切り、政権発足後、新たに400万人の雇用が生まれ、「完全雇用」に近づいている。

経済の強さを示す指標である個人消費の伸び率も見逃せない。アメリカ国民の懐が豊かになった結果、1年間でGDPの7割を占める個人消費が前年比4%増加した。この伸び率は、2014年以来の高さであると言われている。

減税第2弾が進行中のアメリカ

アメリカでは、この減税路線を推し進めるため、減税第2弾の「税制改革2.0(Tax Cut 2.0)」が進行中だ。ポール・ライアン下院議長は9月5日、今月中に法案の採決を予定していると発表。減税政策を主導するケヴィン・ブラディ下院歳入委員会委員長は、トランプ大統領との会合でこう述べている。

「あなたの『力による平和』という外交政策は、アメリカが強い経済と強い軍事力があるときに、最もよく機能します。アメリカの中小企業や中間層が、経済成長を続け、さらに150万人の雇用を創出し、将来の政権が、国民が苦労して稼いだお金を盗んだりしないように、減税路線を恒久化します」

昨年末の減税改革法(Tax Cuts Jobs Act)の規定の一部は2025年に失効するため、経済成長を確実にするには、減税路線を永続化する必要がある。

税制改革2.0の法案は、中間層に焦点が当てられ、所得税の減税に加え、中小企業に対する減税の恒久化を目指している。また、法人税率を21%から20%に下げることも予定している。

ブラディ下院歳入委員会委員長は、「アメリカが他国に遅れをとることがないよう、他国が減税路線で追随してくれば、トランプ政権は減税競争を行う」と述べている。

さらに、アメリカ国家予算の歳出の約半分を占める、社会保障関連費の削減のために、若いころから貯蓄の備えができるような法案も検討されている。

法人減税から失われた産業を取り戻そう

一方、日本はどうか。アメリカでは法人税の減税を一層推し進める法案が検討される中、日本では減税に向けた政策議論は、ほとんど見られない。

アメリカでは、トランプ大統領による大減税政策が稼働し、成果が目に見える形で出始めたにもかかわらず、日本は後手にまわっているのだ。

主要先進国の法人税の平均は、22.5%。これをさらに下回るアメリカの法人減税は、日本の産業の空洞化や技術流出も招きかねない。経団連は、25%に下げるように政府に提案しているようだが、これでは足りないだろう。

「トランプ革命」は、大企業が海外に拠点を移す流れを止めて、失われた産業を国内に取り戻し、雇用を増やす大衆運動である。そのためトランプ氏は、大型減税から着手した。一度失った製造業を取り戻すには、日本のように"為替を操作"したぐらいでは不十分だからである。

日本も、グローバル化によって失われた産業や雇用を自国に取り戻す運動を起こすために、まずは法人減税から手をつけなければならない。

根拠希薄な消費増税:日本は消費減税を実施すべき

安倍晋三首相は、日経新聞のインタビューに応え、2019年に予定する消費税率10%への引き上げは、「必ずやり遂げなければならない」と明言した(9月4日付同紙)。

新聞などは軽減税率の対象となるため、消費増税の当否についての議論は、ほとんど見られない。むしろ、「10%への消費税率は、家計負担2兆円止まり」(5月2日付日経新聞)とする日銀の分析を紹介するなど、消費増税による影響は微々たるものであるかのような印象を与える論調も見られ、国内世論は誘導されている。

だが日本の個人消費は、伸び悩んでいる。日本もアメリカと同様に、GDPの約6割を消費が占める内需型の社会であるが、上の図に見られるように、日本の個人消費はほぼ横ばいで、内需が拡大しない原因となっている。

実は、アベノミクスの開始(2012年12月)前と比べて、マイナス5.7%となっているので、「アベノミクスは成功していない」と言える。

その大きな要因は「消費増税」である。8%への増税が始まったのは2014年4月。その後、2018年の現時点まで1%台の経済成長率が続いている。

次に、下の図をご覧いただきたい。トランプ政権発足以来のGDP成長率は平均3.6%であり、日本はアメリカに大きく水を開けられていることが分かる。

すでに日本人は、社会保障の負担も含めれば、所得の4割から5割を政府に納めている。このような状況でさらに増税すれば、個人消費は一層冷え込み、経済成長率が下がるのは明らかだ。

また所得税を低くし、税制を簡素化するアメリカに対して、日本は2020年1月から年収850万円以上の高所得者の所得税を増税する予定である。

アメリカでは、大型減税があったからこそ、4%以上の経済成長が実現できたということが共通認識となりつつある。

昨年12月に出された米財務省の見通しによると、今後10年で、実質GDPが平均2.9%の成長率となった場合、合計で1.8兆ドルの税収をもたらすため、減税で1.5兆ドル(約165兆円)が減収しても、3000億ドル(約3.3兆円)黒字を生み出せるという。トランプ氏の経済政策はこの見通しが正しかったことを証明しつつある。

「日本の高齢化で社会保障費が増大するから、まず増税だ」という論理は、トランプ氏が実証しつつある経済政策とは反対の「マルクス主義的な政策」であり、国民の勤労意欲を押し下げ、国全体を貧しくする。

国を富ませる大切さについて、大川隆法・幸福の科学総裁はこう指摘している。

国全体を富ませなければ、助ける側の人、すなわち、税金を払う人も雇用を生んでくれる人もいなくなってしまいます。『国民が死に絶えていて、政府だけが予算をたくさん握っている』ということはあり得ないのです。このことは知っておいていただきたいと思います 」(『 政治の理想について 』所収)

政治家は、多くの雇用を生み出す起業家が生まれるよう、やる気に満ちた人が働きたくなる社会をつくることが大切である。

国富を増大させれば、弱者を救うことができる。国民を救いたいという救済の思いを持つならば、政権与党は今一度、増税路線が国を富ませる政策かどうかを再考する必要があるであろう。

(長華子)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『政治の理想について』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=112

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2018年4月号 アーサー・B. ラッファー氏 「中小企業を復活させる 160兆円のトランプ減税」

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2018年5月号 スティーブ・ムーア氏 「財政再建には、減税による経済成長しかない」

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