「残業ゼロ」にしながら「19期連続増収増益」できたわけ

「残業ゼロ」にしながら「19期連続増収増益」できたわけ

 

いよいよ新年度。仕事の仕方を見直す、一つの区切りだ。

 

特に最近は「働き方改革」ということが言われる。しかし、簡単に働く時間を削れるほど、事業がうまくいっている会社は、さほど多くはないはず。

 

本欄では、トリンプ・インターナショナル・ジャパンの社長として、残業ゼロを実現しながら同社を19期連続増収増益に導いた吉越浩一郎氏へのインタビュー(2014年4月号 https://the-liberty.com/article.php?item_id=7425 )を再掲する。

 

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経営コンサルタント

吉越 浩一郎

 

(よしこし・こういちろう)1947年千葉県生まれ。独ハイデルベルク大学留学後、72年に上智大学卒業。極東ドイツ農産物振興会、メリタジャパンなどを経て、83年にトリンプ・インターナショナル(香港)に入社し、86年より同社の日本法人に勤務。92年に代表取締役社長に就任し、19年連続増収増益を達成した。現在は、吉越事務所代表として講演や執筆活動を続けている。『「社長」を狙うか、「社畜」で終わるか。』(日本実業出版社)など著書多数。

 

 

時間を有効に使うために必要なことは、経営者も社員も同じだと思います。それは、デッドライン(締め切り)を決めて、時間を区切ることです。

 

たとえば今日中にやらなければならない仕事があって、4時間かかる見込みだとする。しかしその日は会議などが入っていて、3時間しか使えない。しかも残業はダメとなったら、4時間を3時間に縮めるしかない。

 

それは不可能かというと、集中すれば意外にできてしまうんですね。ところが、残業できるとなると4時間のつもりで始める。途中で気になったことをインターネットで検索しながらやっていると、結局、帰りが午後10時になったりするわけです。こんな調子で何年間か仕事をしていたら、どちらが仕事ができるようになると思いますか。当然、残業しないで帰った方です。だからデッドラインが必要なんです。

 

経営者はそれを全社員に徹底させるわけですが、社員は、重要度が高い仕事ではなく、緊急度が高い仕事を先にやるのが普通です。だから、上司や経営者がデッドラインを決めることで緊急度を上げ、会社にとって重要な仕事を進めるのです。

 

やるべきことは、担当者に、「何を、いつまでに、どのように」やるかを聞くことです。そうすると、論理的に飛躍があったり、詰めが甘いところがある。それを質問攻めにして修正していきます。あくまでも担当者に考えさせ、結論を持ってこさせることが重要です。

 

 

残業ゼロにしても部下のモチベーションは上がる

私が社長になって1年後に約20%売り上げが上がりましたが、特別なことはしていません。きちんと仕事を進めていけば、必ず成果は上がるものなんです。

 

「ノー残業デー」を始めた当初は、多くの社員から「会社のために頑張っているのに」という反発もありましたが、成果が出てくると収まっていきました。結局、モチベーションを上げるのは成果です。自分の仕事が実になったことは如実にわかりますから、そのときに「○○さんすごいじゃん!」と社内が盛り上がると、もう、飛んじゃうくらいにモチベーションは上がりますよ(笑)。

 

 

現場を知ると判断が早くなる

私は、判断すべきことは、早朝会議の場で2分で結論を出していました。それができたのは、現場を知っていたからです。

 

とくに社長就任直後は、流通や販売などの現場をまわり、会議で担当者から状況を聞いて、現場を知ることに時間をかけていました。そうすれば、たとえば機械が壊れたので買いたいという相談が来た時に、あれは修理してもダメだから買うべきだ、と瞬時に判断できる。

 

新規出店など、やってみなければ分からないことを判断する場合もあります。そういうときは、「川があったら飛び込む」ような心の持ち方も大事です。向こう岸に行くためには、あるかどうかわからない橋や船を探すより、早めに飛び込んで泳いだ方がいい。「躊躇せず、どんどん前に行け」という強い気持ちは、経営者に必須です。

 

 

仕事は厳しく会議は明るく

会議では論理的に厳しく追及しますから反発もありますし、正直、社長をしていたときは、リスペクト(尊敬)されている雰囲気はなかったですよ。「この野郎」と思っている部下の方が多かったんじゃないですかね(笑)。

 

それでも、当時一緒に働いていた連中に聞くと、全員が「あの時は楽しかった」と言います。経営者というのは好かれるものではありません。部下に厳しくあるべきだと思います。だから自分にも厳しくなくてはいけない。結局は、自分を律することができるかが、部下がついてくるかどうかの鍵だと思います。

 

もう一つ大切なのが、明るさです。できれば会議ではジョークを言ってみんなを笑わせる。厳しいことを言って険悪な雰囲気になっても、ちょっとしたユーモアで笑いが出ると、なんとなく許せる気持ちになるものです。

 

残業が多い人には「よく寝てください」と言いたい。そのためにも仕事を時間内に終わらせることに一生懸命になってほしい。そうすることで本来の仕事ができると思うんです。睡眠不足で疲労がたまり、頭を使わない作業的な仕事になってしまっている人も多いのではないでしょうか。

 

今後の日本経済は下がる一方だという予想もありますが、私はそんな見方は覆してやりたいと思っています。こんなに真面目に仕事をする国民は世界のどこにもいません。私の妻はフランス人ですが、フランスでは「働きたくない」というのが出発点です。逆に日本は「一生懸命働きます」というのが出発点ですから、働き方を変えれば、日本は必ず復活すると思います。(談)

 

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2017年5月27日付本欄 働き方改革は「ゆとり教育」の再来!? 勤勉の美徳を再考する時

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タグ: 著名知識人  吉越浩一郎  働き方改革  トリンプ  残業  増収  増益  モチベーション  

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