衆院選の投開票日を前に、日経平均株価が14日続伸している(21日時点)。21,000円を超える株価は、1988年2月以来、29年8カ月ぶりだという。

これを自民党陣営は「アベノミクスの成果」だと各地で言って回っている。確かに、日銀の金融緩和などの成果である面は否めない。しかし、本欄では実体経済が軒並み伸び悩んでいると指摘してきたように、どうも「眉唾もの」ではある。

この株価上昇は、「官製相場である」という指摘が多い。政府の自作自演ということだ。

現在の安倍政権が始まった2013年以降、日銀は量的緩和政策の一環として上場投資信託(ETF)などの購入を増やしている。多額の金融商品を、買い漁っているようなものだ。しかもその購入額は、年間3兆3000億円だったものが昨年7月以降、6兆円への倍増となっている。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も2015年以降、資産全体に占める株の割合をこれまでの倍である25%に引き上げ始めた。GPIFとは、厚生労働省が所管する独立行政法人であり、厚生年金と国民年金の年金積立金を管理・運用する機関だ。

2017年3月末時点でのGPIFが保有する国内株は計35兆円にも及ぶ。また、10月時点での保有株はまだ公開されていないが、選挙を前にして、買い入れを一気に加速している可能性も高い。

これら、日銀、GPIFが保有するETF等と国内株は2017年3月時点で計約60兆円。国内株式市場全体の8%を占めている。その割合は、現時点では9~10%に上るのではないかと言われている。

つまり、政府の影響下にある組織が国内株全体の約1割を買っているということ。これほどの規模を購入していれば、「株価が下がりそうな時、株価を上げたい時に、買い入れて、株価の伸びをけん引すること」など容易だろう。

実体経済が不振なのにも関わらず、株価がこれだけ伸びているのは、やはり政府の自作自演の面がありそうだ。選挙前になって、うまいこと株価が急上昇していることに関しても、どうも怪しさが拭えない。

安倍首相は、2013年のニューヨーク証券取引市場で高らかに「Buy My Abenomics!(バイ、マイ、アベノミクス)」とアピールしていた。何のことはない。結局やっていたことは、「I buy my Abenomics!(自分で、自分のアベノミクスを買う)」だったわけだ。

衆院選を前に、原点に戻って考えるべきだろう。「アベノミクスは順調か」「これ以上、消費税を増やして大丈夫か」は、自分の財布や、景気の実感をもとに考えるべきだ。

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