下町ロケットのモデル?と噂の専務に聞く 「お金がないから奇跡が起きる」

下町ロケットのモデル?と噂の専務に聞く 「お金がないから奇跡が起きる」

 

植松 努

プロフィール

(うえまつ・つとむ)植松電機専務取締役。小型ロケットやその発射設備、人工衛星などを自社で製作する。北海道の大学・企業との協力で製作した初の人工衛星「HIT-SAT」が、2006年に打ち上げられた。昨年7月にTEDx Sapporoで行ったスピーチ「思うは招く」は、YouTubeで100万回以上の再生回数を記録。著書に最新刊『好奇心を"天職"に変える空想教室』(サンクチュアリ出版)など。

TBSテレビで放映中の連続ドラマ『下町ロケット』が10月の放送開始から右肩上がりの視聴率を記録している。

 

主人公は、小型エンジンの製造を主力とする「下町の工場」の社長・佃航平。宇宙開発にかける佃の強い思いや技術者魂が周囲を感化していく。その様子に心打たれる視聴者が多いようだ。

 

そんな佃に負けない情熱を持った人物が北海道にいる。ロケット、人工衛星を自前でつくり、打ち上げ、NASAやJAXAも実験装置を使いに訪れる「町工場」の専務・植松努氏。ドラマ『下町ロケット』と、境遇があまりにも似ており、「もしや、モデル……?」とも囁かれている。

 

ザ・リバティ12月号の特集「日本のスゴイ技術」に紹介しきれなかった部分を、前編と後編の2回にわたってお届けする。

 

前編では、民間のロケット開発の妨げとなる「法律」「文化」「資金の依存」についてお話を聞いた。

 

 

「道路」はあるが「免許制度」がない日本

――日本は他の先進国と比べて宇宙開発で後れを取っていると言われています。

植松努氏(以下、植): その理由の一つは、宇宙に関する法律が十分に整備されていないことです。

 

日本では、事実上、高度1万メートル以上にロケットを打ち上げられないのですが、これは特に法律で禁じられてはいません。

 

ただ、何かあった時に、誰がどう対処するかが決まっていません。宇宙開発が進み、ロケットの到達高度が増すと、誰かが失敗したときに、大騒ぎになったらいけないということで、比較的安全な高度1万メートル以内にしておこうという「雰囲気」があるんです

 

例えるならば、自動車が走る道路はあるけれども、自動車に乗るための免許制度はない状態です。高度1万メートルは技術的にはすぐに超えてしまいますし、このような状態では、宇宙開発は思うように進みません。

 

一方、アメリカやフランスなどの日本以外の先進国には、「宇宙法」があります。

 

宇宙利用について、法律で明確に定められていて、政府が宇宙開発の環境を整えています。宇宙に関する法整備がなされていないことは、日本の先進国足らぬところでしょう。

 

日本では、失敗したら何が原因だったのか探るのではなくて、悪者をつくって「切腹」させることで、責任を取らせる風潮が根強いですね。これは、日本の科学の発展を阻害していると思います

 

 

ミサイル開発と一緒にされる

植: また、日本ではロケットが文化になっていない感じがします。これも宇宙開発が進まない原因の一つだと思います。

 

例えば、日本にはトヨタやホンダなど、世界に誇る自動車企業がありますが、自動車も日本の"文化"になっているかと聞かれると疑問です。

 

国内にあるサーキットの数は全然足りていないし、イギリスのように、古い車にかかる税金を免除することで、愛車をより長く使ってもらうという仕組みもありません。単に「乗れればいい」と考えている人が多い気がします。

 

ロケットはもっとひどくて、僕たちがロケット開発を始めたとき、「ミサイルを開発している」と誤解されて、警察に呼び出され大変でした。

 

実際はロケットの輸送能力はとてつもなく小さいので、核兵器と組み合わせることがなければ破壊力はありません。「武器を連想させるからロケットを否定したい」という気持ちは分かりますが、これでは宇宙開発は一向に進みません

 

 

儲かる・売れるものはすでにこの世に存在する

――国の補助金なしで、民間で宇宙開発を行っているのはすごいことだと思うのですが。

植: 僕たちが自分たちで宇宙開発を行う理由の一つは、誰かにお金を出してもらおうとすると、その人の言うことを聞かなくてはいけなくなるからです

 

そうなると、出資者が理解できることしかできなくなって、何か新しいことにチャレンジしようとしても「それは儲かるの、売れるの」って聞かれるようになるんです。これでは「奇跡」が起こらなくなってしまいます。儲かりそう、売れそうな技術や製品はもうすでにこの世にありますからね。

 

「してもらおう、させてもらおう」と思っていると自由を失います。「する」のが一番ですね。未知のことに挑戦しなくなれば、今後、科学は発展しなくなるでしょう。(続く)

 

【関連書籍】

幸福の科学出版 『ロケット博士・糸川英夫の独創的「未来科学発想法」』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1275

 

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タグ: 下町ロケット  モデル  植松努  ロケット  開発  宇宙  民間  

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