釈量子の志士奮迅 [第31回] - 「国民感情」ではなく「国民の幸福」を考える政治
2015.02.27
2015年4月号記事
第31回
釈量子の志士奮迅
世の中は変えられる!
釈量子
(しゃく・りょうこ)幸福実現党党首。1969年東京都生まれ。國学院大学文学部史学科卒、大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。
2013年7月から幸福実現党党首。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
「国民感情」ではなく「国民の幸福」を考える政治
先日、沖縄県名護市辺野古にあるキャンプ・シュワブ沿岸の新基地建設現場を視察してきました。ここはアメリカ海兵隊の普天間基地の移設先で、日米両政府の合意の下、建設が進んでいます。
しかしそこでは、左翼活動家たちが激しく抵抗しています。
フェンス沿いの歩道にテントを立て、そこに住み込み、ゲートを通る工事車両を妨害。そのテントの骨組みのパイプも、1メートル以上基地側のフェンスに突き出た状態です。
彼らは、基地に出入りする人に向けて、「ヤンキー、ゴーホーム!」などと罵声を浴びせます。20隻ものカヌーを出して、海側から基地の建設を邪魔するという事件も起きました。
宜野湾市の普天間基地も訪れました。ここにも異様な光景が広がっていました。基地のフェンスに、「NO BASE」という言葉や×マークなどを形どるように、テープがびっしりと貼られているのです。テープの中には、ガラスの破片やカッターの刃が仕込まれていたり、子供の目の高さに針金が突き出ていたこともあったそうです。
私はそこで、地元有志の皆さんがテープをはがす「フェンスクリーニング活動」に参加させていただきました。カッターナイフでテープを地道に切り落とす作業をしながら、フェンス越しに見える基地の兵士たちに対し、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
海兵隊の若い兵士たちは故郷を離れ、遠い異国の地で、アジアの安全保障に命を懸けています。東日本大震災の「トモダチ作戦」でも、救難活動に尽力してくださった米軍の皆様への感謝は、日本人として忘れることはできません。
政府は「県民を刺激したくない」
過激な活動も許せませんが、放置している政府も問題です。
歩道にテントを立てるのも、フェンスにテープを貼るのも、明らかに違法行為です。地元の方によると、米軍はこうした行為に激怒しており、いつでも強制排除する用意があるそうです。
しかし、地元マスコミが過剰に騒ぐ可能性が高く、日本政府が「県民を刺激したくない」と、米軍側を抑えているのだとか。
こうした状況を放置することは、日米同盟に亀裂を入れる危険性があります。「フェンスクリーニング活動」の参加者は、「これは法治国家ではなく、放置国家だ」と、嘆息していました。
米軍が去って最も危険なのは沖縄
こうした現状を目の当たりにして、つくづく感じるのは、政治には「リアリスティックな目」が必要だということです。
確かに沖縄の方々は、先の大戦中、米軍によって大きな被害を受けました。戦後も米兵が事故や不祥事を起こしたこともあり、不安な思いもあるでしょう。
しかし、憲法9条に縛られ、自衛隊が十分に国を守れない今の日本には、米軍が必要です。
米軍がいなくなって真っ先に危険にさらされるのは、本土以上に沖縄の人たちです。
政府も同様です。県民感情や左翼側の批判を恐れて、こうした状況を放置し続ければ、日米同盟に亀裂が入り、守るべき国民を守れなくなります。
「沖縄には米軍の基地が必要だ。左翼活動家の考えは、沖縄を危うくする」と正論を訴え、その判断に沿って行動していくことが、真に国民の幸福を考えた政治と言えます。
政治家は本音で国民を説得するべき
この問題は、政治のあらゆる場面に共通するものです。
2009年に政権を取った民主党は、普天間基地の移設先について、「最低でも県外」と言って、沖縄の方々を喜ばせました。その後、それが無理な約束だと気づきましたが、このポピュリズム的な発言のために、移設時期が大幅に遅れ、日米同盟に亀裂が入りました。
原発についても、震災から約3年が経った昨年2月に、安倍政権が、ようやく「重要なベースロード」と位置付けました。
しかし、冷静に判断すれば、「原発がなければ、資源小国の日本は経済が大ダメージを受ける」ことは、最初から分かっていました。感情論に流されて原発再稼働を躊躇している間に、石油の輸入増で1日ごとに100億円の国富が失われました。
政府は、本音では必要と思っている政策と、感情論とも言えるようなマスコミの批判の板挟みになることは多いでしょう。しかし、結論を先延ばしすることで、膨大な時間とお金(税金)を浪費しています。政治家は、「最終的に、最も多くの国民を幸福にする政策は何か」を突き詰めて考え、国民を説得すべきです。
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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