厚労省が「出産無償化」を27年度後半から始める検討を開始 ─ 全国一律価格で産科不足・質の低下・コスト増大を招き逆効果との指摘の声が大
2026.10.16
《ニュース》
厚生労働省が出産時の費用を「無償」にする新制度を2027年度後半から始める検討に入ったことが報じられています(16日付日本経済新聞電子版)。
《詳細》
「出産費用(通常分娩)の無償化」は、今年5月に成立した改正健康保険法で実施が規定され、その実施開始が2027年後半となる方向で進んでいることが新たに明らかになりました。
現行制度では、出産一時金として子供一人当たり50万円が支給されています。しかし、出産費用は施設ごとに異なり、地域間の差も激しい中、東京では通常分娩の費用が約64万円となるなど、無料にならないケースが半数を超えています。
そのため新制度では、国が通常分娩の値段を全国一律で決め、公的医療保険から医療機関に支払うことで、個人負担を「無償」にするとしています。
全国一律の価格については、「55万円」や「60万円」とする具体案が検討されていることが報じられています。
加えて「無償化」の対象にならない個室代や差額ベッド代、お祝い膳などの追加料金の支払いを援助するために、妊婦に対する一時金の給付も行うとしています。
いずれにしても、給付総額は増える方向で、保険料の上昇要因になることが懸念されています。
また、今までのように、医療機関が価格を自由に設定できなくなれば、お産を取りやめる医院が続出することも危惧されています。少子化の影響によって分娩数が減少する中でも、24時間体制で分娩を扱う場合に必要なスタッフ数は変わらないため、赤字に陥る医院も出ている状況にあるためです。
そのため産婦人科医の55.3%が、出産費用の無償化に反対しています。反対派からは、「絶対に赤字になるので、分娩をやめる病院や閉院するところが増えると思う」「産みたいのに安全に産める環境がなくなっていくことで、日本はもう子供を産めない国になっていくと思う」などの意見が相次いでいます。
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