世界が中国の軍門に下るのを防ぐには 外交・安全保障の中心に「信教の自由」を据えるべき
2022.01.10
全体主義国家・中国に対する岸田政権の姿勢を見て、岸田文雄氏は「外交通」なのかと疑念を持つ人々が増えてきている。
アメリカでは昨年末、新疆ウイグル自治区からの輸入を全面的に禁止する「ウイグル強制労働防止法」が成立した。
一方、日本は国内法が未整備だという理由でジェノサイド条約にも加盟していない上、今年2月の北京オリンピックの外交ボイコットでさえ明確な打ち出しを控えている。ただ外交ボイコット自体も、2014年のソチ冬季オリンピックでも行われたもので、それほど強いメッセージとは到底言えない。
新冷戦を勝利へと導く鍵は「神仏への信仰心」
大川隆法・幸福の科学総裁を護る、救世主クラスの宇宙人であるメタトロンから、こう指摘されたことがある。
「キーマンは日本だと思うんですよ。日本が完全に、『G7型の欧米の価値観のほうでいく』っていう腹を決めれば、中国が包囲されます」「だから、今、『この英米型の価値観が来世紀以降も主導的になるか、ならないか』の分岐点なんですよ」
もしかしたら岸田氏はこの点が腑に落ちていないのかもしれない。
古代よりペルシアのような東洋的専制と対比されるものとして、「自由」や「法の支配」といった考え方が守るべき英米型の価値観として尊ばれてきた。
この「自由」という概念に対して様々に難癖をつけて攻撃し、全体主義国家の方が効率よく新型コロナウィルスを封じ込めることができたと喧伝しているのが中国だ。
バイデン政権が主張するように、現代の新冷戦が「唯物論の全体主義国家と、自由で民主的な国家との対決」という様相を呈しつつあるのは事実だ。しかしヒットラーも民主主義から生まれたことを思い起こす時、それが決定的な要因でないのは明らかである。
この二つの陣営を分けるものは、「形式的な議会制度や民主的な投票制度があるか否かではない」という点にそろそろ気づかなければ、岸田外交は空回りすることになりそうだ。
では両陣営を分け、かつ新冷戦を勝利に導く国際政治の未来における決定的な要因は何か。それは大川隆法・幸福の科学総裁が9日、東京都内の教団施設・東京正心館において行った「『メシアの法』講義」でも述べられたように、「神仏への信仰心」である(関連記事参照)。
国際政治の未来を左右する要素として、「信仰心」やその精神的自由権である「信教の自由」を挙げると、意外に思う日本人が多いことだろう。
しかし、それは決して突飛なことではない。アメリカのトランプ前政権では大統領のトランプ氏、マイク・ペンス元副大統領、マイク・ポンペオ元国務長官、サム・ブラウンバック元信教の自由特別大使らは、宗教を主軸に据えた外交を行った。
トランプ前政権は、国際機関を通じての国際協調主義は採らなかったことで知られているが、唯一とも言える国際的連携を「信教の自由」を主軸に行った。要するに安全保障政策の中心に宗教を据えたのである。
こうした流れはトランプ政権後も、共和党議員のマルコ・ルビオ氏やテッド・クルーズ氏、クリス・スミス氏などの対中強硬派の議員に受け継がれている。
キリスト教の信仰を持ち鋭敏な善悪の感覚を持つ彼らが、次々と議員立法で対中強硬策を打ち出し、ホワイトハウスを見張っているので、バイデン政権が道から逸れずに済んでいるのだ。
人間の尊厳と信教の自由
ではなぜ信教の自由を中心に据えるべきなのか。
民主主義国家における自由や人間の尊厳は、内心の自由、信教の自由から生まれたものである。16世紀のイギリスのピューリタン革命で、信教の自由のために戦った人々がいたことにより、憲法で精神的自由権として規定されている多くの自由が生まれてきた。
ただこうした概念が権利概念として定まるまでに長い歴史がある。古くはキリスト教誕生以前のギリシアやストア派の哲学に遡ることができるものだ。
アリストテレスは「神を観る」存在として人間を位置づけ、神的な理性(仏教的には仏性)を働かせることができるとしていたし、ストア派は全ての人間には道徳的な選択を行う可能性があり、それゆえにすべての人間は平等の価値があるという思想を有していた。
これが人間の良心や尊厳と呼ばれるものであり、アメリカ合衆国修正憲法第1条や世界人権宣言において尊重されなければならないとされている人権の中身である。
それ故、「自らが真理を見出す努力を放棄させるような全体主義的な体制に服従することは人間の自由に反する」という考えが生まれたのである。
全体主義国家中国による世界支配へのカウントダウンが始まっている
全体主義的体制は、特定の人物を「神格化」する。そしてその人物が絶対的真理を有していて全能であるかのように装い、偽りの真理を国民に強制し、考えることを放棄させていく。
従って真理への自由を放棄し、政治や経済などの面で奴隷的服従の態度を取り、1人や少数の指導者に対し盲目的に従う人間が増えるほど、全体主義の統治者には都合がよい。それと同時に、その国や人類の未来は絶望的なものとなる。
それを阻止し、各人に真理の探究を可能とさせるのが「信教の自由」である。
この権利を失った時に、その国は全体主義的支配転落へのカウントダウンが始まるのである。
「信教の自由」侵害国のスーダンは徐々に中国に取り込まれた
象徴的なケースが、アフリカのスーダンである。
中国の「一帯一路」の要衝になる以前から、スーダンのキリスト教徒への迫害は問題視されており、アメリカではじめて信教の自由特別大使として任命されたロバート・サイプル氏は1999年10月の公聴会で、中国やイランとともにスーダンを信教の自由において特に懸念すべき国の一つであると報告していた。
中国に「一帯一路」で取り込まれた後の昨年10月、スーダンでイスラム系の軍事クーデターが起き、軍隊と民主勢力の共同暫定統治が崩壊。民主勢力は弾圧され完全に民主化への道が断たれた。要するに、"スーダンのミャンマー化"が起きたのである。
また中国との原油等の25年間にわたる取引を決めたイランにおいても、イスラム教神秘主義のスーフィー派やデモ参加者への激しい弾圧が行われている。異論を許さない政権の体質は、全体主義国家・中国とほぼ同質であり、両国が関係を深化させていくのは時間の問題であったと言える。
信教の自由と安全保障との関係に詳しいウィリアム・インボデン氏は、「信教の自由を尊重している国でアメリカの安全保障上の脅威となっている国は、世界を見渡した時に1カ国も存在しない」と明快にこの問題について語っている。
このように「信教の自由」とは、人々が有する宗教的衝動を守り、人類に多様性や複数性を担保することであり、それを失うことは中国の軍門に降る前兆を意味しているのである。
日本は信仰心のある民主主義勢力の要となるべき
習近平・中国国家主席の守護霊は、「だから、まあ、地球での"洗脳合戦"っていうかなあ、『中国の援軍』が地球のやっぱり半分以上をまず占めるところまで行かないといけないと思っている」とその野心を語っている(『習近平思考の今』所収)。
中国が全体主義で世界を染め上げていくことができれば、この地上から善なる勢力が追い出され、裏宇宙の勢力がこの地球の善悪を転倒させていく。
そのような狙いを阻止するために、今ほど西側の勢力の団結の求められている時はないだろう。その中で日本は、経済を中国に依存し、安保をアメリカに依存させるという二股をかけている。このようなことをいつまでも続けて行けると思うのは甘いだろう。
アジア・太平洋では、香港、ベトナム・フィリピンをのぞく東南アジア諸国、ニュージーランドも中国の配下に置かれはじめている中で、アジアにおける自由と民主主義の要を担い、西側の同盟関係を強固にしていくことが日本に求められている役割である。
トランプ氏の信教の自由による外交政策も、この中心軸を持った上での国際協調であった。
トランプ政権後、信教の自由に基づいた国際的連携は失われてはいるが、昨年、ブラウンバック元信教の自由特別大使を中心に同会議はアメリカで開催され、中国の人権弾圧を大きく取り上げた。
この会議への日本政府の参加者は、残念ながら皆無であったという。
この国の政治家の低い人権意識や、二股外交を見るにつけ、何かが根本的に欠けていると思うのは筆者だけではないだろう。
中国との商業主義的利益よりも優先すべき価値は確かにある。
それは「全ての人間が神の賜物であり、機械のようにあつかわれてはならない」「真理の共有による国際的共同体をつくることは可能だ」という価値観である。
世界がオセロゲームのように塗り替えられつつある中、政治家にはこうした価値観への信念が求められるのではないか。
そして最も残酷な政治システムをつくる無神論で唯物論国家・中国は許容すべきではないという強い意志を持ち、宗教を外交の基礎に据えていくことが必要であろう。
現在の日本の政治はアメリカと中国の両方の顔を立て、中ほどを選べばよいと言っているだけで、主体的な意思が感じられない。すでに日本はウイグルやチベットの人権問題に無関心な国だと国際社会で認定されつつある。このままでは日本の国益にも悖る人権外交となりかねない。
(長華子)
【関連書籍】
『メシアの法』
幸福の科学出版 大川隆法著
【関連記事】
2022年1月9日付本欄 大川総裁が年初のメッセージ 「神仏への信仰心を持つ国家」対「無神論・唯物論国家」の構図で中国を追い込むべき
https://the-liberty.com/article/19119/
2021年10月号 悪魔の中華帝国に一喝! 衝撃のインタビュー集
「中共は信仰に勝てないことを学べ」
https://the-liberty.com/article/18702/
2022年1月号 未来はまだ変えられる 「メシアの法」とは何か - Part 1
「無神論は最も残酷な政治システムをつくる」
https://the-liberty.com/article/18986/
2021年7月18日付本欄 「ジェノサイドを許すな」 米信教の自由会議で中国の人権弾圧を非難
https://the-liberty.com/article/18579/
2019年3月16日付本欄 米国務省の大使「中国は宗教との戦いに勝つことはできない」
https://the-liberty.com/article/15517/
2018年6月号 平和ムードの裏の人権弾圧 神を信じると「罪」になる国 Part1
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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