反中演説第三弾 バー米司法長官が愛国心を失った米企業を辛辣に批判

2020.07.24

画像は wikipedia より

《本記事のポイント》

  • アメリカに対して「経済的電撃戦」を仕掛ける中国
  • 外国人代理人登録法の適用で親中企業の見える化
  • 国家観を失った米企業は愛国心を取り戻せるか

ウィリアム・バー米司法長官は17日(現地時間)、ミシガン州のジェラルド・フォード美術館で、中国問題に関する演説を行った。この反中演説は、オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、レイFBI長官に続く第三弾。今週中にマイク・ポンペオ国務長官も行う予定だ。

米テレビ番組に出演した、トランプ政権の元首席戦略官のスティーブン・バノン氏によると、この4人が中国共産党を打倒するための統合した戦争計画を策定しているという。

バー長官の演説は第一弾、第二弾に劣らない痛烈な中国共産党批判を含むもので、米国民に対中脅威認識を持つよう促すという当初の目標を達成するものとなった。

強調されたのは「イデオロギーの戦い」だ。

「(中国共産党は)法の支配に基づいた国際的なシステムをひっくり返し、独裁者にとって安全な世界をつくろうとしている」と指摘する。5月にトランプ政権が出した報告書「中国に対する米国の戦略的アプローチ」の中でも述べられていたように、政府高官らは西洋文明の価値観を守れるかどうかの瀬戸際にある、という問題意識を持っているのだ。

中国はアメリカにとって代わる「経済的な電撃戦」を実行中

中国共産党はアメリカを抜いて、傑出した技術大国になるために政府全体(もっと言えば社会全体)の「経済的な電撃戦」を行っているという。

バー長官は、先端技術の面で中国がアメリカに追いつこうとしていることの懸念を率直に表明。そして中国が2017年に発表した、2030年までの次の世代における人口知能(AI)の計画について、もしこれが達成されたら、中国は経済的な面だけでなく、軍事的にもインテリジェンスの面でも優位に立つと断言した。

中国の目的は貿易ではなく「襲撃」

次にバー長官が矛先を向けたのは、米経済界だった。経済界は、中国がアメリカと「貿易をしたい」と思っているのかもしれないが、中国がアメリカにやっているのは「襲撃」だと指摘。経済界は中国に譲歩し「短期的な利益」を得ていると考えているかもしれないが、「中国の目的は、あなたがたに取って代わることだ」と警告した。

「貿易と投資とで、中国の政治システムが自由化されると思っていたが、香港に対する仕打ちを見れば、1989年の天安門事件となんら体質は変わっていない」と、変わらぬ独裁体制を直視するよう促した。

しかも中国国民のみならず、諸外国にも中国のイデオロギーを強制しているとして、ハリウッドで制作される映画が中国の言いなりとなり、筋書きや主人公を変更していると、ハリウッドの利益至上主義を批判した。

アップルは中国でも捜査に非協力的なのか

さらに批判はデジタル企業にも及び、例としてアップルが2017年に中国でVPN(Virtual Private Network:仮想プライベートネットワーク)のアプリを一掃したり、民主的な曲を中国のストアから削除した件を挙げた。またアップルがアメリカ国内の捜査に非協力的であることを示す事例として、フロリダ州ペンサコーラの海空軍基地でのケースを紹介した。

この基地ではアルカイダのテロリストによってアメリカ人8人が犠牲になったが、彼らが使っていたiPhoneのデータに侵入するには4カ月半かかったとし、令状が存在したにもかからず捜査に非協力的なアップルの姿勢をこう非難した。

「中国政府が侵入できないiPhoneを中国で販売できるのか。これがアメリカのデジタル企業に見られるダブルスタンダードなのです」

外国人代理人登録法で、親中企業の「見える化」

また中国と関係を築いているうちに、アメリカ企業が中国政府のためのロビイストに使われていることがあると述べ、その場合、「外国代理人登録法」が適用される可能性があると警告。同法では、政治的活動について司法省に登録して公開する義務があるとして、それによって当事者の発言の背景にある事情を国民が評価できるようになるとした。

さらにバー長官は、グローバル化された世界で、企業や大学は自分たちを「アメリカの機関」ではなく「グローバル市民」だとみなすようになっていると述べた上で、企業の成功は、アメリカの法の支配、経済的、技術的、軍事的な面の安全性があって実現したものだとし、その恩恵を忘れるべきではないと訴えた。

そして米企業もかつては愛国心があったとして第二次大戦中のディズニーの功績を挙げた。しかし現在の企業は、ダライ・ラマの弾圧に関する映画をつくり、後で中国政府に謝罪するなど、創業者の思いに反したものになっていると批判した。

一方、改善の兆しはみられるという。香港の「国家安全維持法」の制定を機に、デジタル企業はユーザーのデータの提出の求めに応じないという点で一枚岩の姿勢を示している。「彼らがどれだけ長く持ちこたえてくれるか、様子を見たい」としつつも、「もし彼らが持ちこたえられるなら、他の米企業に対する手本になるだろう」と述べた。

そして「自由で繁栄した世界を、子供や孫たちに守るために、自由な世界は公共部門と民間部門とが協力して彼らの支配に抗うことが必要である」と締めくくった。

グローバル企業は社会的責任を担え

「反中演説」の第三弾において、特筆すべきは「外国人代理人登録法」という法律を持ち出してまで、中国政府のロビイストに成り下がりつつある米企業に方向転換を促していることだろう。

今、アメリカでは、企業から愛国心が失われ、企業が短期的利益のためなら、国益を害することでも追求する社会になってしまった。子供や孫の代で、自由な社会が失われようとかまわないという無責任なスタンスである。だが国がその依って立つ価値観をないがしろにしては、企業活動に崇高さもなく、社会的な責任も担えない。

バー長官らが呼び掛けているのは、公共部門と民間部門とが団結して中国に立ち向かうことだ。トランプ政権になり公共部門は反中で団結している。

しかし日本の政財界は、いまだに中国依存を続け、国民を欺いている。親中国的な遺伝子の払拭には、アメリカのように堂々と反中演説をする気骨ある政治家の登場が待たれる。

(長華子)

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タグ: 中国  貿易  ウィリアム・バー  イデオロギー  外国代理人登録法  司法長官  スティーブン・バノン  ハリウッド  独裁 

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