安倍政権は、10年ぶりに日本の国連安保理の常任理事国入りに挑戦する姿勢を見せている。日本とドイツ、インド、ブラジルで構成する「G4」はこのほど、常任理事国を現行の5つから11に増やすことなどを求める決議案を提唱することを決めた。

安倍晋三首相は25日の国連総会での演説でも、「国連を21世紀の現実に合う姿に改革し、そこで日本は常任理事国となってふさわしい役割を担いたい」と語り、理解を求めた。また、中東の過激派「イスラム国」への対処を中心にした中東への緊急支援や、エボラ出血熱への対策のために44億円を追加で支援することを表明。「女性が輝く社会」に向けた取り組みもアピールした。

国連憲章の改正は、全加盟国のうち3分の2となる129カ国の賛同が得られれば可能となる。

10年前にも日本は常任理事国入りを目指したが、その際には中国の反対で、決議案は採決すらされなかった。また当時、在米の中国系団体である「抗日連合会」が、日本の常任理事国入りに反対する署名を約4000万筆集めたと豪語。抗日連合会は、南京大虐殺について書かれた『ザ・レイプ・オブ・南京』の著者アイリス・チャンを支援していた組織であり、歴史問題で日本を非難し続けている。『ザ・レイプ・オブ・南京』は、内容に数多くの矛盾や間違いが指摘されている。

今回も、日本の常任理事国入りに反対すると見られる中国は、来年の戦後70年に合わせて、旧日本軍が南京で30万人を殺したとする"南京大虐殺"を宣伝するなど、日本を糾弾して、他の加盟国を取り込もうとする可能性が高い。

日本政府は、韓国政府とのすり合わせの結果作られた「河野談話」の見直しを始めとして、真実の歴史を主張していかない限り、中国のこうした動きに対抗できない。

国連憲章にはいまだに、第二次世界大戦中に「連合国の敵国」だった国が、侵略的な行動などをとった場合、これに対して軍事的制裁を課すことを容認する「敵国条項」が、削除に至っていない。

「敵国」には、日本やドイツ、イタリアなど7カ国が該当すると日本政府は解釈しており、当然ながらこれを撤廃したい。

安倍晋三首相は8月の終戦記念日に靖国神社に参拝しなかったが、常任理事国入りを目指すならば、歴史問題に正面から取り組むべきだ。今こそ、日本を不当に敵国扱いする戦時体制を終わらせるべく、言論戦を展開すべきだ。(居)

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