2019年度の無人月面探査機の打ち上げを目指し、文部科学省は関連予算を2015年度の概算要求に盛り込む方針。15日付の読売新聞(電子版)が報じた。月面探査に向けた、政府の取組みが本格化する。

月には資源になりうる物質として、水や鉄、ヘリウム3が存在することが判明している。無人月面探査では、この資源の利用可能性を探るために、地質を調査するという。

技術的な課題として、月面着陸時の位置コントロールの精度を上げること、凹凸の激しい月面でスムーズに走る探査車の開発、昼夜が2週間ずつ続くため蓄電能力の高いバッテリーをつくること、などが挙げられる。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、米航空宇宙局(NASA)の協力を受けつつ進める方針だ。

月の調査では、アポロ計画で有人探査を行ったアメリカが、頭一つ抜けている。一方で、無人の探査は、米国とロシア、中国が実施済みであり、日本と同じく、インドや韓国も目指している。日本はこれまで、2007年の「かぐや」など、周回衛星で月の調査を行ってきた。各国が月探査に名乗りを上げる背景には、月の資源をめぐる発言権を確保する狙いがあると見られている。

有人探査計画も、今後、各国から持ち上がってくるかもしれない。

月面は、約300℃もの激しい昼夜の温度差がある。しかし、天然の深い縦穴が確認されており、ここでは気温の変化が小さいため、有人探査の際の基地になりうると期待されている。また、月面の大気はほぼ真空だが、光の当たらない両極付近のクレーターには、水が氷となって存在していると見られており、有人探査の際に利用できるのではないかとの意見もある。

しかし、アメリカの有人月面探査から40年間、人類は月に行っておらず、調査はあまり進んでいない。短期的には成果が見えにくい宇宙研究の予算は削られがちだが、新しい資源の発見は文明の飛躍的な発展につながる可能性を持つ、人類にとって重要な分野だ。月面探査の計画が、より活発に進むことを望みたい。(居)

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