中国の無人月探査機「嫦娥(じょうが)3号」が14日夜に、月面への軟着陸に成功した。着陸地点は、月の北半球で地球からも見える「虹の入り江」と呼ばれるクレーター。今後、月面の探査車「玉兎(ぎょくと)号」が、地形や地質構造のデータを収集する。

月への着陸に成功したのは、米国、旧ソ連に続いて3カ国目。中国は「月の資源開発」など科学的な目的を掲げているが、「軍事目的」というのが中国内外の見方だ。それは、今回の衛星を打ち上げた西昌衛星発射センターが人民解放軍の施設であることからもうかがえる。

複数の中国メディアは、「誘導技術は非常に先進的で、ミサイル開発に応用できる」など中国の専門家のコメントを報じているほか、海外メディアも、「科学技術目的なのか、月の軍事基地建設の一歩なのか」(10日付Fox News電子版)と報道。「中国が、月を『デス・スター』(映画「スター・ウォーズ」に出てくる宇宙軍事要塞)化するのではないか」などと懸念する声が上がっている。

中国は、2012年に中国版GPSの運用を始めており、20年には宇宙ステーションの独自運用を計画している。一方で、アメリカやロシアは、長年にわたって財政問題などで宇宙開発が停滞しており、最近になって両国大統領が再び宇宙開発に力を入れはじめたところだ。

日本はといえば、国際宇宙ステーション(ISS)への参加や小惑星探査機「はやぶさ」の計画では実績があるが、有人宇宙飛行には本格的に着手していない。安倍政権は宇宙開発に力を入れており、14年度の予算請求額を前年度から446億円増やし、3666億円とした。しかし、アメリカは約4兆5000億円でロシアが約4900億円、中国も推定3900億円であることを考えれば、充分とは言えない。

宇宙開発の技術で日本が世界トップレベルであることは、中国の軍事台頭に対する抑止力になる上に、月には核融合発電の燃料として期待される「ヘリウム3」やチタンなどの鉱物資源が多く、資源開発という意味でも有効な投資と言える。日本の未来産業を開き、日本や世界の安全を守るためにも、月や火星の探査計画、さらには有人宇宙飛行の実現に向けて、宇宙戦略を立てていくべきだ。(晴)

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