59種類もの栄養素を持ち、ヨーグルトなどの具材として、注目を集めているミドリムシ。栄養素の生産効率は稲の数十倍といわれ、食糧問題が解消できるとして期待されていたミドリムシだが、新しい燃料として活用できるとして、現在注目を集めている。

このたび、世界トップレベルのディーゼルエンジンメーカーであるいすゞ自動車と、世界唯一のミドリムシの屋外大量培養技術を持つユーグレナは、ミドリムシを利用した次世代バイオディーゼル燃料の実用化に向け、共同プロジェクトを開始する。両社のホームページ上で発表された。

活動の第一歩として、7月から神奈川県藤沢市のいすゞ工場と最寄り駅を結ぶシャトルバスに、ユーグレナが開発したミドリムシ原料のバイオディーゼル「DeuSEL」の利用を開始。従来のバイオ燃料は軽油に最大5%混合可能であり、DeuSELは含有率1%から使用する。2018年までに、100%ミドリムシ由来の燃料を使用できるよう、技術確立を目指している。

ミドリムシなどを原料とするバイオ燃料は、成長過程で二酸化炭素を体内に取り入れるため、燃料として燃やしても大気中の二酸化炭素の総量は増えず、環境汚染に与える影響が小さい。ユーグレナの他に、デンソーやIHIなどが研究を進めている。

最大の課題は生産コストである。現時点では、1リットル当たり、500~600円程度で、現在のガソリンや軽油価格の3倍以上だ。培養技術などの更なる向上が望まれる。

だが、世界人口100億人を迎えようとしている状況を考えると、新エネルギーの研究は非常に重要な取り組みである。

その中でもミドリムシ由来の燃料は、大豆などを原料とするバイオ燃料に比べて、耕作地が要らないため、日本でも安定的に生産できる。

日本発のミドリムシ燃料が世界のエネルギー問題を解決する日は近いのかもしれない。(冨)

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