新時代の食料源としてユーグレナという藻類が実用化されているが、「燃える藻類」も、石油に代わる新エネルギー源として、実用化が目前となっている。

日立建機はこのほど、藻類から作ったバイオ燃料を100%使って「ハイブリッド油圧ショベル」の試験機を500時間稼働することに成功した。500時間は、エンジンの点検を行う目安となる稼働時間であり、藻を使った新たなバイオ燃料が実用化に近づいていることがうかがわれる。

水中を漂う小さな藻の中には、内部に油を蓄える種類のものがある。これを大量に培養し、搾り取った油を石油の代わりとして使うのだ。バイオ燃料のトウモロコシやパームヤシなどに比べ、使用する面積当たりの採れる油の量がぐっと多いことがメリットの一つだ。

有力な品種には、太陽光で光合成して増えるボトリオコッカスと、有機物を摂取して増えるオーランチオキトリウムがある。赤道周辺の国に比べて日照時間が少ない日本では、太陽光を必要としないオーランチオキトリウムが期待され、有機物を含む生活排水などを使うことが検討されている。

もしこれが日本で実用化されると、休耕田の5%を使った場合の生産高で、現在の燃料の輸入分をまかなえるという試算もあり、エネルギーの自給にはずみがつきそうだ。

しかし、問題は法律とコストだ。塩害を受けた休耕田でも技術的には生産が可能だが、現在は農地法が理由で休耕田を使うことができないという法的な障害がある。

現在1リットル500円以上かかる、生産コストの高さも普及のネックとなっている。実用化には、160円ほどまで下げる必要があるという。

この技術を国を挙げて推進しているアメリカでは、政府が1リットル650円で買い取っており、2018年までに1リットル80円に下げる目標を立てている。ヨーロッパでも、「2020年までにEUの空港に離着陸する飛行機の燃料の10%をバイオ燃料にしなければならない」と決めて推進しているところだ。そうした国々に比べると、日本の態度は悠長に見えてくる。

法律とコストという問題を解決できれば、日本も藻類でエネルギーの自給ができ、輸出の可能性も出てくるかもしれない。太陽光や風力に比べてはるかに安定的な供給を見込めることもあり、「藻類」が新エネルギーとして現実的な選択肢となる日も遠くないと言える。(居)

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