ウクライナ問題でロシアの外交姿勢に注目が集まる中、同国の極東・サハリン地域では、日本企業の農業分野での進出が進んでいる。

JFEエンジニアリングが、農業技術で世界最大手のプリバ社と提携し、ロシアの農業ビジネスに参入する見通しだ。14日付の日経が報じた。JFEの設備技術とプリバ社の温室栽培システムを生かし、極寒地域向けの栽培プラントを構築する。極寒地域でも野菜を効率よく安定的に生産することができ、農業の活性化が見込まれる。

この他にも、日本のイービストレード社は地元農家と提携し、ソバ栽培事業を行っている。北海道銀行もアグリビジネス推進部署を設置し、ロシア極東地域における農業関連事業の支援に乗り出した。

ロシア極東にはハバロフスク地方やサハリン州などがあり、全て極東連邦管区の管轄となっている。同管区は、面積こそロシア全国土の36%を占め、8連邦中最大だが、農業生産額はロシア全体の4.7%に過ぎない。ソ連崩壊で予算が激減し、経済不振や人口減少が急激に進んだことも大きな原因だ。

そのため極東地域では、数年あるいは数十年間、農地を非常に安い値段で外国企業に貸与するなどの投資優遇政策がとられており、中国・韓国からの投資が増大している。そのため、中国人による不法滞在などの問題も起きている。また現地では、進出した中国企業が、大量の化学肥料・農薬を使い、農地が損害を受けたという報道も相次いでいる。ロシアにとって中国による投資は、手ばなしで喜べるものではない。

自国の利益のみならず、相手国の利益も考え、互いにWin-Winの関係を築くことで、初めて長期的に経済関係を強化していける。極東地域では親日的なロシア人が多く、中国の脅威を考えれば、安全保障の観点からもロシアとの関係を強める必要がある。日本は、ロシア極東地域に対する積極的な農業投資を通じて、ロシアの経済発展にも貢献していくべきだ。(冨)

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