日露両政府は、4月末に予定されている首脳会談に向けての下準備を進めている。3月にはノワク露エネルギー相が来日し、茂木敏充経済産業相と天然ガスなどのエネルギー開発協力などについて話し合う見通しだ。また、4月のG8外相会談では日露外相会談が計画されている。

親日家として知られるプーチン大統領の就任以後、日露関係は良好である。これを契機に、両国はますます協力関係を深めるべきだ。現在ロシアは、人口流出が続く極東地域の大規模再開発を進めており、インフラ整備や資源開発で外資の呼び込みに力を入れている。日本がこの地域へ投資すれば、新しいビジネスチャンスを得られるほか、中国・北朝鮮の脅威に対する包囲網づくりの一環ともなる。

それでは、具体的にはどのような協力の可能性があるだろうか。大型開発に関連して、3つ挙げてみよう。

一つは、シベリア鉄道の高速化だ。極東地域にとって、現在もシベリア鉄道はヨーロッパへの貨物輸送の要だが、日本のリニア新幹線の技術を導入すればさらに時間が短縮される。資源開発・産業開発との相乗効果で、人・物・金の行き来が活発になり、経済活動が活発化するだろう。日本は現在、インドのムンバイ~アーメダバード間の高速鉄道計画の受注に向けて協議を進めているほか、アメリカにリニア新幹線の技術提供を持ちかけている。日本はロシアに対しても具体的な提案を行うべきだ。

また、軍事的な理由によって外部から閉鎖されていた都市の再開発事業に協力する手もある。中国と国境を接するアムール州のウゴレゴルスクはその一つだ。現在、宇宙基地が建設中のこの街では、大型空港を建設して物流拠点を作り、国際都市化しようという計画も同時に進んでいる。日本にはインフラの整備や都市開発、宇宙開発など、強みを生かした分野で協力が期待されている。

さらに、間宮海峡を挟んでロシア本土とサハリンの間に橋をかけるとともに、サハリンから北海道につながる海底鉄道を建設するという巨大計画がある。これは2011年にプーチン大統領が当時首相としてロシアのテレビに出演した際に発言し、話題となったものだ。この計画が実現すれば、日本とロシアとが地続きでつながり、両国間の経済協力はさらに加速するだろう。

安倍首相が北方領土返還の交渉をする際には、こうしたスケールの大きな開発への協力を持ちかけ、ロシアにもメリットがあるようにすべきだ。ロシアとの協力は、両国のさらなる繁栄をもたらす上、日本の安全保障にもつながるものである。(晴)

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