映画でも話題になった、百田尚樹原作の「永遠の0」が向井理さん主演でドラマ化され、2015年6月にテレビ東京で放送されることになった。主人公の特攻隊員を演じる向井さんは、自身のブログで先の戦争について触れており、2010年の終戦の日には、「国の責任者が(靖国神社へ)参拝するのは当然の義務」と述べ、自身も靖国神社に参拝したと報告するなど、注目を集めている。

向井さんは、2007年に特攻隊を描いた映画に出演したことがきっかけになって、靖国神社について深く知ったという。「必死になって日本の行く末を案じながら散っていった人達のことを考えると感謝の気持ちで一杯です」と英霊への哀悼の意を述べ、「靖国神社についてその生い立ちや存在意義を理解している日本人がどれくらいいるのでしょう?」「何故それが問題なのか?それを理解しなければ何も進まない」と、靖国神社の歴史や背景を正しく知る必要があると語っている。

昨年12月に安倍晋三首相が靖国神社を参拝した際、中韓や一部国内のマスコミが激しく反発した。靖国神社参拝への批判が続いているが、向井さんが言うように、なぜ問題になっているのかを理解する必要がある。

中韓は、靖国神社に「A級戦犯」が祀られていることを問題視しているが、1979年に「A級戦犯」の合祀が公表されてから後に総理大臣が参拝しても、何も抗議をしてきた事実はない。正式に反発を示したのは、合祀から7年後の1985年に朝日新聞が反靖国キャンペーンを行った後だ。韓国は中国に同調して批判を始めたにすぎない。このことから、靖国問題の本質が「A級戦犯」ではなく、中韓の外交カードに利用されていることがわかる。そもそも1952年のサンフランシスコ講和条約発行以降、「戦争犯罪による受刑者の赦免に関する決議」により戦犯にされた人々の名誉は回復している。また、恩赦には東京裁判に参加した各国も合意しており、もはや存在しない「A級戦犯」を理由に批判される謂れはないのだ。

実際、中国の宣伝する「歴史観」はアジアの共通認識ではないことが浮き彫りになりつつある。5月に行われたアジア安全保障会議で、中国軍関係者が安倍晋三首相に靖国参拝に批判的な質問を投げかけた。これに対し、安倍首相が「国のために戦った方に手を合わせ、ご冥福を祈るのは世界のリーダーの共通の姿勢」であるとし、「法を順守し、平和国家への歩みを進める日本」を強調して回答すると、会場からは拍手が巻き起こった。

生命を投げ出して国を守った人々に感謝の念を抱くのは、国民として自然な感情だろう。向井さんが言うとおり、靖国神社の意義について日本人自身が正しく理解しなくてはいけない。中国の覇権主義からアジア諸国を守るリーダーになるためにも、日本は自虐的な戦後の意識から脱却する必要がある。(今)

【関連記事】

2014年4月12日付本欄 『安倍首相の靖国参拝を「戦争の準備行為」と提訴 平和を脅かす中韓こそ問題視すべき』

http://the-liberty.com/article.php?item_id=7673

2014年2月26日付本欄『キャロライン・ケネディ大使 靖国参拝への「失望」の"本心"に迫る』

http://the-liberty.com/article.php?item_id=7452