憲法記念日の5月3日は、集団的自衛権の行使容認や憲法改正の是非などについて、各地で街頭演説が行われ、各紙報道でも大きく扱われた。

憲法改正が焦点化される背景には、もちろん中国の軍拡の脅威がある。領海侵犯など、中国の脅威を最も受けている沖縄は、11月に知事選が行われる予定だが、憲法改正に反対する世論が根強い。

その原因としては、太平洋戦争で沖縄が戦場となったことや、1972年まで本土に復帰できなかったことへの葛藤などがあるのだろう。そのため、かつての琉球王国のように、「沖縄を独立させるべき」という極端な意見まである。だが、琉球王国時代の沖縄は、明治以降の統治と比べて苛酷なものであって、とても理想的ではなかった。

14世紀半ばに成立した琉球王国は、江戸時代に薩摩藩の支配下にありながら、中国の清にも朝貢外交をするなどという複雑な立場をとった。朝貢の見返りに中国から莫大な利益を得た支配者層には、親中派が形成され、租税を横領する役人が横行するなど、腐敗にまみれていた。その一方で、農民は土地私有の禁止や重税を課され、数々の天災の被害や伝染病に苦しんだ。琉球に訪れたペリー提督も、「これほどまでに貧乏な農民をほとんど見たことはなく、原因は貴族側にある」と指摘している。

これは、さながら中国や北朝鮮のような共産主義下の統治であり、農民が支配階級から搾取される構図だったと言える。しかし、明治政府に編入されてからの沖縄は、農民の土地所有が認められ、教育制度の確立、那覇港の整備などが進み、発展することができた。

こうした歴史があるにも関わらず、次の知事選で沖縄独立の政策を掲げる候補予定者もいる。だが、沖縄県の自主財源は約25%(2012年度)しかなく、大半が国の補助金に頼っている状況だ。もし仮に独立しても、属国的な立場であった琉球王国に昔帰りすることは目に見えている。大森内閣法制局長官も、1997年の衆院予算委員会で「現憲法下では独立という効果は生じない」と答弁したように、元より独立すること自体が法的に認められない。

感情的に本土を批判することは、国防を脅かすだけでなく、沖縄のためにもならない。沖縄の平和を守るためにも、憲法改正を視野に入れた議論を深めなければならない。沖縄独立論は、歴史と現実を無視した暴論であることは言うまでもない。(慧)

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