2014年5月号記事
4月下旬、約4年ぶりにオバマ米大統領が来日する。安倍晋三首相とアジアの安全保障などについて意見交換する予定だが、今後も日本の安全保障をアメリカに依存したままでいいのか。数年以内に私たちが目の当たりにするであろうアジアの大激変を予測し、日本がとるべき国防強化策について考える。
(編集部 小川佳世子、馬場光太郎、HS政経塾 森國英和)
contents
Part2
アメリカの安全保障戦略の今後の見通しについて
日本を代表するジャーナリストに聞いた。
インタビュー
2016年米軍の撤退は決定的になる
ハドソン研究所 首席研究員
日高義樹
(ひだか・よしき)1935年名古屋市生まれ。東京大学英文科卒。NHKの外信部、アメリカ総局長などを経てハーバード大客員教授に就任。現在、ハドソン研究所首席研究員として、日米関係に関する調査・研究の責任者を務める。著書に『帝国の終焉』(PHP研究所)『アメリカはいつまで日本を守るか』(徳間書店)『アメリカの大変化を知らない日本人』(PHP研究所)など。
アジアの安全保障は、すでに危機的な状況にあります。
オバマ米大統領は、シリアやウクライナに介入しなかったことからも分かるように、「話し合えば、うまくマネジメントできるのではないか」と考える人です。今までのアメリカならば、中国が日本の尖閣諸島を占領しようとしたり、北朝鮮が韓国に攻撃を加えたりするような事態が起きれば、何らかの軍事的な措置をとる。しかし、 これからのアメリカは動かないと思った方がいい。
中国は今後、経済成長の減速が予想されており、それに伴う国民の不満を外に向けるため、対外的に強硬な態度を強めるでしょう。アジアはより不安定になります。 今のままでは日本や韓国は、有事が起きないように祈るしかありません。
2016年の米大統領選から「内向き化」が加速
アメリカが世界の紛争に無関心であることは、アメリカ国民の意識の変化と無関係ではありません。最近の世論調査では、「いわゆる覇権国家としての責任を持ちたくない」「世界の安全保障や軍事より、自分たちの生活の方が大事だ」と考える人が増えています。