来年1月から、日本版・小額非課税制度「NISA」が開始される。銀行や証券会社に専用口座を1人1個まで開き、そこからの投資による利益が非課税となる制度だ。数十%ある課税が免除されるので、個人はより気軽に投資することができる。年間100万円以内の投資について、最長で5年間は非課税となる。

NISA開始に合わせ、初めて投資にチャレンジしたり、投資額を増やす人も多い。10月1日から口座申し込みが可能だが、17日時点で予約が200万件を超え、今月末には322万件を上回る見込みだという。来年の制度開始後、さらに口座数は増えるだろう (18日付日本経済新聞)。

これは、日本のデフレ脱却や経済成長を後押しするために、個人の投資を活性化させる取り組みである。

お金の流れは、各人の儲けを「使う」か「貯める」か「投資する」かという選択の集積で決まる。今のデフレの原因は、多くの日本人が、貯金を増やし、消費・投資をしないことだ。結果的に、家計の貯蓄残高は増え続け、日本の家計の金融資産1500兆円の過半を占める。一方で、株式・投資信託は1割に過ぎず、経済にお金が流れていないことが分かる。「お金」は国内に大量にあるにもかかわらず、名目GDPは近年下がり続け、給料は減っているのだ。

貯金として眠っているお金を投資に回すことで、日本経済を活性化させる必要がある。NISAの開始も、こうした取り組みの一環である。「非課税なら投資をしてみよう」と一歩踏みだしてもらい、貯金を日本経済のために役立ててもらうのが狙いだ。

一方、貯金が増え、投資が増えない背景には、多くの日本人が持つ投資に対する心理的な距離がある。確かに、働いていないのに利益を得ようとしたり、リスクを取ることは「ギャンブル」のようにも見える。

しかし、将来性の高い技術やビジネスモデルがありながら、それを実現させる資金力のない企業を、リスクを取って助けることは健全な経済活動である。そこから得た利益もまた正当なものである。さらに言えば、単に投資利益を求めるのみならず、社会のためになる企業を応援するために、長期投資をするならば、なお理想的だ。

日本に活発で健全な投資文化を根付かせるために、NISAのような制度的改革と合わせ、そうした投資の有益性や理想形を日本人に浸透させていくことが必要である。デフレに苦しむ日本の繁栄のために、日本人の巨額な貯金を活用しない手はない。(光)

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