中国の有名な学者など123人が、中国共産党政府に対し憲法に基づく政治(憲政)の実現や言論・信教の自由などを求める文書を、ニュースサイト「博訊」に連名で掲載した。29日付産経新聞が報じた。
文書は26日付で、言論・思想統制を強めている習近平政権を批判する内容となっている。一部を抜粋・要約すると、
- われわれは自らの尊厳を守り、文明的生活を送るための憲政秩序の構築を希望する。
- 民意の監督を欠いた権力は公共の利益を代表せず、少数者による既得利益集団を形成した。われわれは自身の合法的な財産や収入すら守ることができない。
- 選挙権を有する公民なら誰でも立候補できる民主選挙や、言論、集会、結社の自由、特に政府を批判する言論の自由を強く求める。
このような文書が発表された背景には、3月に成立した習近平政権が、改革派の締め付けを強めていることへの反発がある。
5月末には、人民日報をはじめとする共産党系メディアが一斉に、「憲政」を社会主義に反するものとして否定する記事を掲載した。また、民主化を求める学生らが人民解放軍に武力弾圧された天安門事件の24周年を控えた5月末、中国当局は民衆蜂起を恐れてか、事件の関係者を北京郊外に連行し、また追悼活動も禁止した。
しかし当局の弾圧にもかかわらず、これまでも勇気ある人々は人権を求めて活動を続けてきた。憲政を求める「08憲章」を2008年に発表した1人である劉暁波氏は2010年にノーベル平和賞を受賞した。しかし、中国はその劉暁波氏を「国家政権転覆扇動罪」で11年の懲役刑に処し、その家族にも人権弾圧を加えている。
「民主主義は中国に合わない」とうそぶく中国は、経済的には自由主義を取り入れてGDP世界2位の経済大国へと成長した。しかし13億人の幸福のために、中国は政治においても自由化すべきであり、弾圧を受けながらも声を上げ続ける人権活動家たちを、国際社会は応援すべきだ。(居)
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