台湾の最大野党・民進党は25日、全国党代表大会で、中堅幹部らが取りまとめた中国の民主化や人権向上を支持する「台湾海峡人権決議文」を提案した。これは1986年の結党以来の重要な表明と言える。
台湾は地政学的にも重要な台湾海峡、バシー海峡、ルソン海峡に挟まれた東アジアの要衝の一つである。
台湾は沖縄とともに、対中国、対アジアにおける極めて重要な戦略拠点であり、国際的な民主主義の広がりを推し進めるためにも、また中国が民主化する上でも重要な砦となる。その意味で台湾の最大野党の民進党が、いわゆる「一つの中国」論を排し、中国の民主化や人権向上を支持する動きを見せたことは極めて大きな意味を持つものだ。
また、この動きは日本にとっても大きな意味を持つ。2011年3月の東日本大震災では、台湾の真摯な姿勢と支援の輪が日本の政府や国民感情を動かし、台湾に感謝する世論ができあがった。また今年に入って、尖閣諸島海域を含む沖縄近海での日本と台湾との漁業交渉の進展も期待されることから、日本の政府や政財界も、民進党の動きに積極的な支持を表明することを考えるべきであろう。
日本やアジアの安全保障の確保には、台湾が日本の「同盟国」として共に手を携える関係になることは、極めて有効な手段だ。
一方、与党・国民党政権である馬英九政権も4月、台湾海峡の澎湖半島で、中国軍による台湾への先制攻撃を想定した軍事演習を実施。同政権では初めて実弾を使用する演習となり、馬政権が中国を明確な脅威としている点が際立っていた。
安倍晋三首相は、日米豪印4カ国による「安全保障のダイヤモンド」構想を持つが、この構想の中に、現在のTPP交渉参加国はもちろん、東南アジア諸国やオセアニア諸国が含まれているのは公然の秘密である。さらに構想を一歩進めて、台湾を「ダイヤモンド」の要に入れるべきだろう。(弥)
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