日本高等学校教職員組合(日高教)が高校生を対象として昨年11月に行った、憲法に関するアンケートの結果を、このほど公表した。

教師が生徒に依頼して、放課後や、家に持ち帰って回答させたこのアンケートでは、憲法9条を「変えない方がよい」と答えた生徒が63%いたという。その理由としては「戦争への道を開くおそれがあるから」が76%にのぼった。そのほか、「憲法を変えることをどう思うか」「自衛隊は憲法に違反するか」などの設問や、自由回答欄があった。回答者数は約1万2千人で、この年代の子供のおよそ1%が回答した計算になる。

東京新聞は20日、この結果を「9条改正 高校生6割が反対」の見出しで嬉々として報じているが、このアンケートの正当性そのものに疑わしい点がある。なぜ教員の組合が生徒の憲法に対する考え方を調べなければならないのだろうか。

もともと日高教は左翼的思想の強い日教組から分派した組織で、昨年の衆院選直後の声明では、「いかなる憲法改悪の策動も許さず、子どもと教育、教職員・国民の生活と権利、平和と民主主義を守り発展させるために、全国の教職員・国民とともに、政治の民主的転換に全力をつくす」と決意表明をしている。

こうした思想的背景をもつ日高教のアンケートは、教師が生徒に対して、自分たちと同じ考え方をしているかを確認したり、生徒の教師への忠誠心を測る「踏み絵」と疑われかねない。うがった見方をすれば、左翼教育の結果、どれだけ生徒の「洗脳」に成功したかを判定する、リトマス試験紙のように見えなくもない。

「踏み絵」と言えば、大阪市の橋下徹市長が職員にアンケートを行い、問題になったことがある。これは橋下氏が大阪市の職員に対し、「他の職員から投票依頼を受けたことがあるか」や「街頭宣伝に誘われたり参加したことがあるか」などを尋ねるアンケートを、職務命令として迫った件だ。これを「市長への忠誠心を試す踏み絵だ」として、被害者の会が日本国憲法19条の「思想・良心の自由」を根拠として裁判を起こしている。地方公務員は法律上、政治活動を制限されており、橋下市長の問題意識は正当性があるが、教師が生徒の政治思想を調査するのは、思想・良心の自由に踏み込んでいるのではないだろうか。

日本の教職員組合は、左翼的な平和教育の問題が指摘されるが、内容だけでなく、こうしたソフトなやり方での"洗脳"にも注意が必要だろう。(居)

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