2013年3月号記事

第11回

釈量子の志士奮迅

世の中は変えられる!

幸福実現党 女性局長

釈量子 (しゃく・りょうこ)

1969年東京都生まれ。國学院大學文学部史学科卒、大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。釈量子公式ブログ http://shaku-ryoko.net/

[第11回] 「南方週末」社説改ざん事件に思う

いよいよ中国の体制が揺らぐか――そんな変化の予感を感じさせたのが、今年の年初に起きた広東省の週刊紙「南方週末」の社説書き換え事件でした。新年号で掲載予定だった「中国の夢、立憲政治の夢」と題する社説が、当局の圧力で「我々は民族復興の偉大な夢に最も近づいた」という内容に改ざんされたというのです。

1月6日の段階では、編集部が中国版ツイッター「微博」で改ざんの噂を否定したものの、7日に入ると、同紙現役記者が「宣伝部の圧力で新聞社の責任者が嘘の声明文を発表した」と暴露、記者たちもストライキ等で抵抗しました。何でも昨年1年間、書き換えや掲載見送りを命じられた記事は1034本に上るというのですから、書いては直されといった応酬が続いてきたのでしょう。昨年末より、5億人とも言われるネット使用者に登録が義務付けられるなど、習近平体制では、言論や内心の自由に対する管理が一層、強化されています。また青海省のチベット人居住地でも衛星放送の受信設備を大規模に撤去するなど、当局が海外情報に対して神経を尖らせていることがうかがえます。「上に政策あれば、下に対策あり」と言われる中国で、情報を遮断して世論を制したい政府と、自由と民主化を求める声のせめぎ合いが続いています。

「良心」に生きる崇高な人が世を変える

「南方週末」の節を曲げない志士のような姿勢は、これまで自由や民主化といった思想の種をまき、それを受け入れ、戦ってきた活動家の存在があってこそです。

2010年ノーベル平和賞の劉暁波氏は、今も獄中から「天安門事件」の意味を私たちに問い続けています。嘘をついて釈放されることより、「良心」に忠実に生きる人生を選んだ人間の崇高さは魂を揺さぶってやみません。「南方週末」の編集幹部たちは、天安門事件当時に学生だった人が多いそうです。「理想は死なず、良心は屈せず」という気概を感じます。

河南省の日刊紙「東方今報」も「南方週末」を支持する記事を公然と掲載し波紋が広がっていますが、中国の内部から噴出する自由と民主化を求める声に、私たち日本人は力いっぱい応えなくてはならないと思います。なぜなら、正しさの基準が共産党にしかないという現代中国は、13億人にとって暗黒時代であり、日本にとっても最大の脅威になっているからです。これを終わらせられるかどうかは、中国の内部から「良心」に忠実に生きようと決意する自由な人たちが現れるかどうかにかかっています。