長野地裁が厚生年金基金からの脱退をめぐる訴訟で、長野県の建設会社の脱退を認める判決を24日に出した。基金の代議員会が建設会社の脱退を認めなかったために起きた訴訟だったが、判決を受けて脱退の申請をする企業が続出し、全国の加入企業に波紋が広がっていると、28日付日本経済新聞が報じている。

厚生年金基金とは公的年金の他に、企業が任意で参加する企業年金の一種。賦課方式の公的年金とは違い、積立型で、退職後に払った本人が受け取る。積立てたお金は基金が運用して増やし、支給額を賄う。現在、加入企業のほとんどは中小企業で、業種ごとに基金を積立てている。大企業が単独で設立していたものもあったが、その多くは確定給付企業年金などに変更していった。

厚生年金基金のほとんどはバブル崩壊前から、運用利率5.5%で計算して掛け金を決めていたため、バブル崩壊後の運用実績1~2%との差が積立不足として残った。運用利率を実態に合わせて下げると掛け金が上がり、企業がその負担に耐えられないため、積立不足に陥った基金は高い運用利率を誇るAIJなどの高リスクな投資顧問会社に運用を任せることが多かった。そんな中、今年2月、AIJの運用の失敗が発覚したのだ。

積立不足が増えれば企業の負担額も増える。企業が基金を脱退すれば、受給者は加入期間分の年金しかもらえないが、それでも企業としては負担の重さに耐えかねて倒れてしまえば元も子もないから、背に腹は代えられない。厚生労働省も「AIJ問題後、解散や脱退の相談が急増している」と言う。企業年金がある会社員の割合も、2002年の63%から10年間で48%まで低下し続けている。

今回の判決、そしてその後の脱退の流れは、企業年金がすでに成り立たなくなりつつあることを示している。企業の場合、採算が合わない場合の反応は早い。時間差はあれど、国の年金も同じようになっていくだろう。なぜなら公的年金はすでに政治家・官僚による"使い込み"と、企業年金と同様の運用損によって、年金積立金は巨額の損失を出しているからだ。

それを穴埋めするための大増税など断固拒否して、老後の備えは、自分でするものと覚悟を決めた方がよさそうだ。(居)

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2012年7月号記事 年金破綻で日本は甦る?

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2012年2月25日付本欄 AIJ「消えた企業年金」、根っこは公的年金と同じ問題

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Aug 23th: 英語御説法 Be Strong 質疑応答第1問

Obama vs. Romney; Whoever wins the election, the result will be the same

(Excerpts from the Q and A session conducted at Happy Science Headquarters on June 12, 2012)

If U.S. citizens put the economy first, rather than equality and world peace, the next U.S. President is going to be Romney. If they are less concerned about the economy, and more concerned about implementing justice, world peace, and an egalitarian society inclusive of minorities,…Read the whole story>>

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Aug 23th: キリスト教 vs. 幸福の科学?(2012年9月号62、63頁)

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Editor's Column:Christianity vs. Happy Science?

This year in June, Master Ryuho Okawa of Happy Science went on his first teaching trip to Africa, which marks a milestone, as he has now spread the teachings of Happy Science across all five continents. Maybe this is the reason why more and more other world religions have started acknowledging Happy Science…. Read the whole story>>

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Stephen Kiprotich, a Ugandan runner, brought a gold medal to his country in the men's marathon at the London Olympics this Sunday. His gold medal was the first one in Uganda since forty years ago and the second one in the country's history…. Read the whole story>>

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