政府は22日、北海道、関西、四国、九州の各電力会社での今夏の計画停電の方針を発表した。

各紙報道によると、計画停電の流れとしては、まず前日午後6時に、翌日の供給余力が3%を下回る見通しとなった場合、需給逼迫警報発令を行う。このときグループ・区域も公表する。次に当日午前9時段階で、懸念が解消された場合は警報を解除する。開始3~4時間前に緊急速報メールがあり、2時間前段階で供給余力が1%を下回る見通しとなった場合、計画停電の実施を発表する。停電は一区域につき1日1回まで、2時間程度を予定する。

各電力会社は昨年3月から火力発電の増強を続けて、電力供給力を高めてきた。しかし、その中には、老朽化して廃炉予定だったものを再稼動したものを含んでいる。

今年2月、九電新大分火力発電所が液化天然ガス供給管の不具合で、3基あるすべての施設を停止させた。また、関西電力の南港発電所と姫路第2発電所で、クラゲが大量に発生して取水口の近くまで入ったために15日から出力を抑制している。何か事故があった場合、とたんに電力が逼迫してしまうことは目に見えている。

また、突然停電があった場合、自宅で人工透析を行っている人に影響が出る。人工透析を行う人は全国で約30万人いるが、例えばある男性は自宅で週に3~4回、血液透析治療を行っており、一回の透析に5時間半かかる。このため停電で機械が停止したら、大量の血液が失われる可能性もあるという。

人工透析の患者らでつくる「全国腎臓病協議会近畿ブロック」などは、電力の確保を求める要望書を関西電力に提出している。

枝野幸男経済産業相は22日の閣議後記者会見で、「国際社会では(原発を)重要視して活用するのが大勢。(日本は)いかに安全に貢献できるのかで役割を果たしていく」と述べた。国際的には原発推進しながら、国内は原発をほとんど止めるという、二枚舌を平気で使っている。

民主党は「コンクリートから人へ」と、人命や暮らしを大切にするという主張で政権を獲った。それが東日本大震災でコンクリートが人を守ると実証されたにもかかわらず、今度は「人命や生活より脱原発」と、真逆になっている。

これは消費税増税のマニフェスト違反を上回る、最大の「違反」ではないのか。一刻も早く原発再稼動を進めるのが、消費税増税より大事だということを民主党政権は知るべきだ。(居)

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