6月17日に投票されたギリシャ議会の再選挙は、新民主主義党など財政緊縮派が勝利を収めた。とりあえず、ユーロ離脱の危機は回避されることになった。

第一党となった新民主主義党は、同じく緊縮に賛成する全ギリシャ社会主義運動と連立を組み、過半数を確保する。

しかし、緊縮反対派で野党第一党となった急進左派連合は、前回の52議席から71議席と大きく躍進しており、発言力を増す見通しだ。

依然、国論は大きく二分されたままであり、今後、EUが望む緊縮策に対して、ギリシャがその通りに実施できるかどうかが問われる。

失業率が20%を超え、25歳以下では2人に1人は仕事がないと言われる状況の中で、増税をしたり、社会保障費を削ったりすることが、政治的に本当に可能なのか。

新政権は、EUによる支援条件の緩和を巡って、これから交渉することになるが、それがどのような条件であれ、国内を説得する作業は困難を極めるだろう。

借金も、あまりに多くなると、借金した側の方が強くなってしまうことがある。「返してほしかったら、言うことを聞け」と居直ることができるからだ。貸している側も業腹ながら、破綻させてしまうと金利分すら入ってこなくなるので、ある程度大目に見なくてはいけなくなる。こうして、債務者と債権者の奇妙な共存関係が始まるが、こうした馴れ合いの借金関係は、通常、悲惨な最期を迎えることになる。

今回のユーロ離脱回避は、とりあえず問題を先送りしたのに過ぎない。EUは本気で借金を取り立てる気はないように見えるし、ギリシャも本気で返す気があるように見えない。

スペインやイタリアの信用不安も生じており、ユーロ問題の本質的解決には程遠いのが現実で、予断を許さない状況は続くはずだ。(村)

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2012年5月21日付本欄 【そもそも解説】ギリシャのユーロ離脱

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4314