2012年7月号記事
新シリーズ 有識者インタビュー
未来を創る
性急な脱原発の危険性を勇気を持って訴えよう
グロービス経営大学院学長
堀義人氏
(ほり・よしと)
1962年茨城県出身。京都大卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。住友商事を経て1992年にグロービスを起業。現在、グロービス経営大学院学長、グロービス・キャピタル・パートナーズ代表パートナー。著書に『創造と変革の志士たちへ』(PHP研究所)『吾人の任務』(東洋経済新報社)など。
性急な脱原発の危険性を勇気を持って訴えよう
エネルギー問題を考える上で、四つの点を考慮する必要があります。
まずは安全性です。 発電電力量当たりの死亡者数で見ると、原子力発電は、石炭の約250分の1、石油の約200分の1、ガスの30分の1 です。実は原子力が一番死亡者数が少ないのです。日本の死亡者数はわずか2人です。今回の地震でも、2万人もの人が津波で死亡・行方不明になっていますが、原発事故ではゼロ。放射線医療の専門家によると、今後50年、100年経っても死亡者は限りなくゼロに近いと言っています。むしろ、避難所生活などのストレスによる死亡者の方が増えるという指摘もあります。
また、原発はよく「トイレのない家に住んでいるようなもの」と言われますが、これは誤解です。安定した地盤の地中深くに、密封して埋め込み、放射能が漏れないように保管すれば安全に処理できます。高度な廃棄物に関しては、国民一人当たりゴルフボール2個分しか発生しません。