1兆3千億円の負債を抱える関西国際空港の再生のために、同空港と大阪(伊丹)空港が7月に経営統合する予定になっているが、その準備会社となる「新関空会社」が1日に発足、2日に除幕式が行われた。資本金3億円は、政府が全額出資する。

黒字運営されている大阪空港のターミナルビル以外の関西空港と大阪空港の施設を一体運用して競争力を高め、早ければ14年度にも運営権を民間に売却して、関空会社の負債を一掃する計画だ。

関西には大阪空港、関西空港、神戸空港の3空港が併存し、顧客を奪い合っていることが問題視され、橋下徹大阪市長が府知事時代に大阪空港の廃港を提案したことがあったが、同空港の一部がある伊丹市が強行に反対して存続することになった。

住宅密集地にある大阪空港が、騒音公害問題を抱えて朝7時から夜9時までの発着しかできないため、国際空港として24時間利用できる関西空港が大阪湾南部の埋め立て地に建設されたのだが、都市部からの利便性が低いことなどから敬遠されているようだ。

そのため、関西空港は赤字続きで負債が膨れ上がり、空港からの税収の増加を見込んでインフラ整備や多くのハコものを建設した対岸の泉佐野市までが、その後の「バブル」崩壊や長引く景気低迷のあおりを受けて財政破綻寸前の状態となり、つい最近も、「市名の命名権売却」問題で騒がれた。

関西空港には、3月からピーチ航空や韓国のイースター航空などの格安航空会社(LCC)が就航して、利用者が増加している。また、橋下大阪市長が府知事時代に、リニアモーターカーで大阪市中心部と関西空港を10分間で結ぶというアイデアを提唱していた。

ピーチ航空の井上慎一CEOが言うように、飛行機を「空飛ぶ電車」として利用できれば、日本国内はもとより海外からの顧客の増加が見込める。人とモノの移動量が増えれば、日本全体の経済効果も上がるはずだ。

赤字解消というネガティブな発想ばかりでなく、長期的な視点に立って黒字を増やすための智恵を皆で出し合うことを考えることが重要であろう。〈宮〉

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2012年2月26日付本欄 「空飛ぶ電車」は交通革命を起こすか 日本初のLCC「ピーチ」

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2011年6月22日付本欄 羽田空港拡張、震災を機に空港を増やせ

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