2012年3月号記事
特集 2012 北朝鮮を崩壊させよ
ニュースそもそも解説
北朝鮮問題を読み解くための
基礎知識
Qなぜ朝鮮半島は南北に分かれたのか?
第二次世界大戦当時、日本はソ連と相互に侵略しない不可侵条約を結んでいたが、終戦間際になって突然ソ連が条約を破って日本軍や民間人がいた朝鮮半島に侵攻した...
Qなぜ朝鮮半島は南北に分かれたのか?
第二次世界大戦当時、日本はソ連と相互に侵略しない不可侵条約を結んでいたが、終戦間際になって突然ソ連が条約を破って日本軍や民間人がいた朝鮮半島に侵攻した。
ソ連による半島の共産主義化を恐れたアメリカが介入、交戦状態になったが、アメリカ側の「北緯38度線での分割占領」の提案をソ連が受け入れた。このとき、抗日ゲリラとして活躍した金日成は、ソ連の指導者スターリンの後押しによって、北朝鮮の暫定統治機関の委員長に選ばれた。1948年8月、アメリカの後ろ盾を得て韓国が成立すると、その翌月には、ソ連の後ろ盾を得た北朝鮮が建国され、金日成が首相に就任した。
今もなお続く冷戦
しかし、北朝鮮は共産主義による半島の統一を目指し、1950年に韓国に侵攻。朝鮮戦争が始まった。一時は、北朝鮮が半島の9割近くを占領して韓国を追い詰めたが、韓国はアメリカを中心とした国連軍の協力を得て反撃。今度は、韓国が中国国境付近まで北朝鮮を追いやった。ところが、北朝鮮の敗戦が濃厚となった土壇場で、中国が北朝鮮の援軍として緊急参戦。38度線まで押し戻した。その後、膠着状態が続き、1953年に休戦を迎える。
現在は、軍事境界線(38度線)に沿って南北に2キロずつ、東西240キロの非武装地帯が設けられている。その中心には板門店と呼ばれる共同警備区域が設けられ、両国の兵士が警備している。つまり、北朝鮮と韓国は、国際法上、いまだに戦争状態。社会(共産)主義と資本主義が衝突する「冷戦」が、板門店を挟んで、今なお続いているのである。
Qなぜ金一族の世襲が続くのか?
本来、権力の世襲は封建制においてなされるものであり、社会主義国ではあり得ない。だが、北朝鮮に存在しているのは次のような理由からだ。
金日成は、日本占領下の朝鮮半島で抗日ゲリラとして活躍していたため、北朝鮮において「建国の父」というカリスマ性を持っていた。
後継者は当初、金日成の弟・金英柱と見られていた。だが1950年代、ソ連では指導者スターリンの死後、後継の指導者がスターリン批判を行い、個人崇拝を糾弾。中国でも毛沢東の死後に、後継者の座を巡って激しい権力闘争が行われた。
金日成や側近たちは、同じ社会主義国である北朝鮮でも同様のことが起こることを恐れ、体制維持のために権力の世襲を行うことを決めた。
儒教思想で世襲を正当化
朝鮮半島には伝統的に儒教が広がり、親や年長者を敬うことが大切とされている。この価値観に則り、息子の金正日を後継者にすれば、金日成、または体制そのものへの批判は避けることができるとの思惑から、金正日への世襲が決まった。この構図は、金正日から金正恩への世襲にも当てはまる。
このやり方だと先人の批判が許されなくなるため、体制は維持できるかもしれない。だがその代わりに、体制の負の面が改善されないという欠点がある。
金一族らが徹底した思想・言論統制や、反体制の人間を収容所に送るなどの恐怖支配を行い、密告制度網を張り巡らせるなどして、反乱やクーデターの芽を摘んでいることは言うまでもない。
・「北朝鮮 ─終わりの始まり─ 霊的真実の衝撃」…………(本誌 p.28)
・国際社会は北朝鮮国民の苦しみを放置してはならない……(本誌 p.30)
・半島有事シミュレーション <最悪パターン>……………(本誌 p.32)
・半島有事シミュレーション <最良パターン>……………(本誌 p.34)
・インタビュー 拓殖大学客員教授 潮匡人
2020年代 自由と繁栄の東アジアを創れ ………………(本誌 p.38)
■ 2020年代自由と繁栄の東アジアを創れ─編集長コラム ……………(本誌 p.38)
■ ニュースそもそも解説 - 北朝鮮問題を読み解くための基礎知識 ……………(本誌 p.40)