今年は、国民全体が「この国の社会保障のあり方」を改めて考え、政治を変える年になりそうだ。4日付日本経済新聞が全国の男女1000人にアンケート調査した結果を載せている。

社会保障制度について「不安だ」と答えた人が81%で、1年前の56%から大きく増えた。不安な分野は「年金制度」が96%と圧倒的に高く、「医療制度」60%、「高齢化対策」54%と続く。

社会保障制度の何に不安があるかとの問いには、「現役世代が減り、破綻する」73%、「保険料の負担額が増える」71%が多い。

ここまでは、国民の不安をよく表している。だがさらに注目すべきは、「社会保障の財源を確保するため、政府にどのような政策を求めるか」の問いへの答えだ。「景気を良くして税収を増やす政策」69%、「人口を増やすような政策」35%と続き、「消費税の増税」は27%で3番目にとどまった。

そして、「社会保障の財源として税率を引き上げる」は賛成28%に対し、反対が52%。1年前は賛成と反対がほぼ半々だったのに対して、今回は反対が圧倒的優勢になった。

これを見ると、政府よりも国民のほうが正確に事実を把握し、未来に取り組むべき方策を知っていることがよく分かる。

野田政権が「不退転の決意」などと言って「未来の社会保障を確保するためには消費税増税しかない」と突っ走っているが、何のことはない。国民の意見をしっかりと聞いて出直せばいいだけのことだ。

実は、この「景気を良くして税収を増やす」と「人口を増やす」は、2009年夏の衆院選において幸福実現党が訴えた主要政策であり、本誌でも繰り返し提言してきた。これについて国民のほうは"学習"しているのに、野田首相や財務省は旧式の考え方のままで止まっている。すでに政治より国民のほうが先に行っているのだ。

野田政権は、世論を無視して増税を強行しようとすれば、政権が崩壊すると知るべきだ。そして、世論の"地鳴り"が幸福実現党に向かっていることをマスコミも知るべきだろう。(仁)

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2009年9月号記事 政界三国志【4】年金破綻

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