台湾総統選挙が14日に行われる。最大の争点は「対中関係」だが、中国寄りの国民党・馬英九氏が再選しても、独立志向の強い民進党・蔡英文氏が当選しても、難しい舵取りが求められる。

現職の馬英九・国民党主席(61)は、中台それぞれが「一つの中国」を独自に解釈するという「1992年合意」を維持し、中国と緊密な関係を築く姿勢。中国との安定的な経済環境を望む大企業などから支持を集める。一方、対抗馬の蔡英文・民進党主席(55)は、「台湾はすでに主権独立国家」と主張。主な支持層は台湾南部が中心で農業・漁業関係者、労働者が多く、格差是正を訴える。

この2人が支持率40%前後で接戦を展開するが、第三の候補である、かつて国民党の大物だった宋楚瑜・親民党主席(69)が、国民党支持者の票をどれだけ奪うか、また、選挙終盤に立候補を取りやめる可能性も取り沙汰されており、その動向に注目が集まる。

景気後退に苦しむ台湾は、馬氏が再選すれば、中国経済との連携が強まるが、属国化の危険性が高まる。一方、蔡氏が当選すれば、中国は台湾との経済的つながりを弱め、政権に揺さぶりをかけることは間違いない。総統就任の5月までの間に選挙のやり直しを求める運動が起こるなど、不測の事態も想定される。

ここに必要なのが、日米をはじめとする国際社会の良識の目だろう。中国では、国営新華社通信などが、台湾総統選について「台湾地区の指導者選挙」と表現しているが、台湾国内はもとより、中国に下手な動きをさせないための重石の役割が求められる。

北朝鮮も大きな不安定要素だが、日本は国防力や経済力をさらに強化しなければ、台湾を守ることも、中国を牽制することもできない。日本は今、東アジアの安定のために、日本の国力を強めなければいけない。増税で国力を弱めようとする野田政権には、早々にお引き取り願いたい。(格)

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