日本とインドの間の軍事的な関係が急速に緊密化している。

先週、インドのクリシュナ外相が来日し、インド海軍と海上自衛隊の合同演習を提案したほか、東日本大震災後中断した原子力協定締結交渉を進展させることで日本側と一致。これを受けて来日したインドのアントニー国防相は今週、一川保夫防相との会談で、2012年の日印共同海軍演習の実施で合意した。陸軍同士の交流も強化することで一致した。これまでアメリカも含めた日米印3カ国などの共同訓練は行っているが、日印2カ国の共同訓練は初めてだ。

こうした日印接近について、インドのジャーナリスト、ラジブ・シャルマ氏がウェブ外交誌「The Diplomat」で、「中国の脅威がなかったとしても、日印は軍事的・経済的関係を急速に強めるだろう」と書いている。

以下要点。

  • より興味深いのは、経済的に二番目と三番目に大きい国が軍事的な協力関係を提案したことだ。具体的なものはまだ決まっていないが、北京の軍事当局は不安な目で見ているだろう。
  • 日印関係の緊密化はアメリカから催促されたもので、昨年あたりからの中国の強硬姿勢を視野に入れている。北京政府は中国外交の後ろ盾となってきたアフリカに対して日印がどう取り組むかを見ている。日印はアメリカのバックアップを受けて、昨年10月からアフリカの問題について対話を始めている。
  • 結局のところ、日本とインドは「自然な同盟国(natural allies)」であるようだ。両国とも中国の台頭による潜在的な混乱を懸念している。対外的な関心だけでなく、国内問題についても利害が一致する。日本は高齢化しており、インドのような新興市場に進出しようとしている。インドは日本の社会インフラのノウハウを求めている。中国の台頭が刺激となっているが、日本とインドは親密な関係にならざるを得ない。

「ナチュラル・アライ(natural ally)」というのは、互いに「相手がもっと強くなってくれるといい」と考える国家関係のこと。この関係に立てる国はそう多くはない。

アメリカとインドは、06年に原子力協力協定を結び、軍事面でも関係を強化しており、「準軍事同盟」の関係に至ったと指摘する識者もいる。

日本とインドが軍事面で協力を深め、原子力やその他技術面でも結びつきが強くなっていけば、事実上の「日印同盟」が成り立つということになる。

インドのジャーナリストは「日印同盟」をはっきり意識した記事を書いているが、日本の政治家やメディアは、他の国とインドを同列に扱っているようだ。インドは日本の安全にとって特別な国であるという見方が必要だ。(織)

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