野田佳彦首相が、武器輸出三原則を緩和する意向を固め、11月に行われる見通しの日米首脳会談でオバマ大統領に表明する調整に入ったと、14日付読売新聞が報じている。

三原則とは、冷戦中の1967年、佐藤内閣が1)共産圏諸国、2)国連決議で輸出を禁じた国、3)国際紛争の当事国には、防衛装備を含む武器や関連技術の輸出を認めないとした国会答弁。76年には三木内閣が1から3以外の国にも、「武器の輸出を慎む」という見解を加え、事実上、すべての武器やその技術が輸出できなくなった。

今回の緩和は、輸出を禁じる対象国を限定し、国連決議など国際的な武器輸出管理規制に参加する国に限って共同開発・生産を行うことなどが柱。緩和が実現すれば、世界的な潮流である戦闘機や艦船、ミサイル防衛など重要装備の国際共同開発に日本企業が参加できるようになり、国内防衛産業の技術の維持・向上や、巨額の財源が必要な防衛装備品の調達のコストダウンにもつながるという。

実は、この三原則に縛られ、国内の宇宙開発の発展も遅れてきた。専門家によると、過去には、日本のロケット・エンジンを買いたいという海外企業に対し、その企業がGPS(全地球測位システム)を打ち上げていることを理由に、三原則に抵触するのではないかと自主規制して破談にした。

三原則の緩和について、「戦争する気か!」と怒る人もいるだろう。しかしこれは、他国を攻めるためのものではなく、日本国民を守るためのものである。保守的な部分をちらつかせる野田首相だが、いっそのこと、同じ論理で憲法9条も改正してはいかがだろう。そうすれば、長期政権も夢ではないかもしれない。(格)

【参考記事】

2010年4月号記事 1000万人の雇用創出計画

http://www.the-liberty.com/article.php?pageId=1&item_id=862