デフォルト(債務不履行)の危機に陥っているギリシャで、政府が財政緊縮策の一環として公務員の退職金や年金の大幅カットを打ち出したため、2日間で1万人以上のベテラン職員が辞表を提出して大騒ぎになっているという。

ベテラン職員が大勢退職すれば、行政機能に支障をきたすのではないかと懸念する声が上がっているというが、問題の本質は別のところにありそうだ。大幅カットされる前に多額の退職金を受け取って辞めてしまおうという彼らの発想が、ギリシャを危機に陥れた根本原因のように思われる。

ギリシャの公務員数は世界有数の多さだ。全人口の1割という数字もあれば(日本は約3%)、25%という数字もある(人口1千万人に対し公務員労組が250万人)。しかも公務員が退職後にもらう年金は現役時代の所得の96%分だという(ギリシャを資金支援するドイツは43%)。

今回のギリシャの公務員たちの行動は、国家の危機の最中に敵前逃亡するようなものだ。民主主義の故郷であるギリシャが社会主義化し、このような衰退の姿を見せるとは何とも皮肉で哀れなものである。〈宮〉