国際政治学者
佐久間 拓真
(ペンネーム)
国際政治の中でも特に米中関係、インド太平洋の安全保障、中国情勢を専門にし、この分野で講演や執筆活動、現地調査などを行う。
自由民主主義の価値観を堅持しようとする小国に対し、巨大な経済力を「兵器」として振りかざす国家がある。東欧のバルト三国の一角、リトアニアが直面した事態は、単なる外交紛争の枠を超え、中国がいかにして世界のサプライチェーンを人質に取り、他国の主権を蹂躙するかを冷酷に知らしめた。これはリトアニア一国の悲劇ではなく、秩序を軽んじる覇権国家が牙を剥いた、全世界への警告である。
「台湾代表処」開設に報復──小国に向けられた経済的恫喝
事の発端は、リトアニアが首都ヴィリニュスに「台湾代表処」の設置を認めたことに始まる。自国の地政学的判断に基づき、民主主義のパートナーとの関係を深めようとしたリトアニアに対し、中国は即座に猛烈な報復を開始した。
その手法は従来の外交的抗議にとどまらなかった。中国は、国際貿易のルールを根底から覆す「経済的威嚇」という名の闇討ちを仕掛けたのである。
まず、中国はリトアニアからの輸入を事実上、完全に停止させた。税関のシステムから「リトアニア」という国名そのものを消去するという、前代未聞のデジタル抹殺を実行したのだ。これにより、リトアニアの輸出品は中国の港で立ち往生し、腐敗や廃棄を余儀なくされた。
























