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トランプ米政権がデンマーク自治領グリーンランドの領有を目指し、反発する欧州連合(EU)への圧力を強める中、EUはアメリカに追加関税など930ユーロ(約17兆円)規模の報復案を示すなど、反対姿勢を強めています。

《詳細》

グリーンランドは、アメリカとロシアの間に位置しており、北極と大西洋を結ぶ国防上の要衝(GIUKギャップ)です。そのためアメリカは安全保障上の理由で、19世紀半ばから領有を試みてきました。

ロシアが弾道ミサイルをアメリカに発射する場合、最短距離は北極やグリーンランド上空を通過するルートであることに加えて、近年は中国が同地域で存在感を増しています。現在の保有兵器では防御しきれない次世代兵器から米本土を守る(ゴールデンドーム構想)ためには、グリーンランドにおける防空システムを強化することが必要不可欠となっています。

トランプ大統領は17日、欧州8カ国(デンマーク、ドイツ、フランス、イギリス、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド)に対し、アメリカによるグリーンランドの領有を支持しない場合、2月1日から10%の報復関税を賦課し、6月1日には25%に引き上げると自身のSNSで表明しました。期間は「グリーンランドの完全かつ全面的な購入で合意に達するまで」としています。

8カ国はいずれも、アメリカによる領有に反対姿勢を示し、1月15日までに十数人程度の少数の兵員をグリーンランドに派遣していました。

トランプ氏の関税表明を受け、デンマークやイギリス、EUのフォン・デア・ライエン欧州委員長らが一斉に反発。ドイツとフランスは19日に共同記者会見を開き、「脅迫に屈することはない。欧州は団結し対抗措置を準備している」とアメリカの領有への反対姿勢を示しました。

18日には、EUがアメリカに対し追加関税や米企業の欧州市場へのアクセス制限を含めた930ユーロ規模の報復案を示すなど、対抗措置の検討に入っていることが英紙フィナンシャル・タイムズなど各紙によって報じられています。

一方、ベッセント米財務長官は19日、報復措置を検討する欧州に対し「非常に賢明ではない」と牽制し、グリーンランドを巡るトランプ大統領の意図を疑わないように求めました。

トランプ氏は「中国とロシアの船舶がグリーンランド周辺海域にうじゃうじゃいる」として安全保障の点からグリーンランドの領有を求めています。

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