《ニュース》
欧州連合(EU)が、中国の保安検査機器大手のニュークテックに対し、中国政府から違法な補助金を受けていた疑いで調査を開始しました。
《詳細》
EUは2023年に、EU外の企業も含めて、域内で特定企業への政府補助金を禁止しています。今回の調査は、2024年4月に、ポーランドとオランダにあるニュークテックの施設に、欧州委員会が抜き打ち検査をした際の結果に基づいて行われることになりました。
同委員会は、ニュークテックが公開入札において、競合他社が対抗できないような額を示した可能性があると指摘。中国政府の同社への助成金、優遇税制措置、優遇融資の組み合わせによって、EU27カ国における競争に悪影響を及ぼした可能性があると懸念している、としています。
ニュークテックは、中国国有原子力発電所の建設や運営を担う、中国政府系企業傘下の企業です。ニュークテック製の貨物や荷物、旅行者の保安検査機器の機材は、欧州の港湾や国境検問所、空港などで幅広く利用されています。
2020年6月29日付米ウォール・ストリート・ジャーナルは、国務省のメモで、ニュークテックが傘下のネットワークを通じて個人や企業の情報にアクセスし、中国当局に提供する懸念があることを指摘していたと報道。アメリカ政府は欧州政府に対し、「欧米の安全保障や企業にとって脅威になる」として、製品やネットワークに「バックドア」を組み込んでいた通信大手機器ファーウェイと同様、ニュークテックを排除するよう求めていました。
既にEUでは、スロベニア、クロアチア、チェコ共和国、ルーマニアで、保安検査機器に関してニュークテックなど中国企業が関与する入札を中止するなど、警戒が高まっていますが、さらなる締め出しが進むことが想定されます。
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