《ニュース》

オーストラリアでは12月10日から、法律で16歳未満のSNS利用が禁止されます。これに先駆け、フェイスブックやインスタグラムなどを運営する米メタがオーストラリア内の対象ユーザーに、アカウントの閉鎖を通知し始めました。

《詳細》

オーストラリア政府は、対象となるSNS事業者に、16歳未満のアカウント作成の禁止や、アカウントの凍結措置を求めています。「合理的な措置」を行わない場合、事業者には最大4950万豪ドル(約47億6千万円)の罰金が科されます。

米メタは、16歳未満とされるユーザーに対し、アカウントのデータをダウンロードして保存するか、削除するようメールでの呼びかけを開始(豪ABC)。12月4日からは、16歳未満のものとされるアカウントの削除と新規開設の停止を始めるとしています。

オーストラリアでは、子供がSNS上でのいじめを苦に自殺したり、詐欺や性暴力などの犯罪に巻き込まれるなどの事件が相次いでいることなどを受け、2024年11月に、世界初となる16歳未満のSNS利用を禁止する法案が可決されました。アルバニージー首相は、「子供は電子端末から離れ、対面での実体験を通じて学び、成長してほしい」と話しています(24年11月29日付時事ドットコム)。

法律の施行前から、オーストラリアの学校では、SNS利用とスマホの所有を禁止する校則を設ける動きが出ていました。

11日付朝日新聞デジタルは、豪西部パースの「ヘイルスクール」の事例を紹介。SNS禁止法の成立後、学校側が保護者に、子供にスマホを持たせたいかを調査したところ、85%が「持たせたくない」と回答したため、2024年、7年生(日本の中学1年生)以下の生徒に、SNSの利用とスマホの所有を禁止する校則を設けました。校長は、過去の学校でのSNS上のいじめ被害を挙げ、SNSのアルゴリズムについて「もはや飲酒や喫煙と同等に有害だ」と指摘しています。

同校が今年5月に調査を行ったところ、83%の保護者が「禁止期間の延長」を求めたため、8年生まで禁止期間を延長しました。生徒自身もおおむね前向きに校則を受け入れているといい、7年生の男子生徒は「ほかの学校に通う友人たちは、いつも下を向いて誰かにメッセージを送ったり、ゲームをしたりしている。自分たちがやるべきなのは、直接会話し、交流することだ」と話しているといいます(同記事)。

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