《ニュース》
厚生労働省の発表で、最低賃金が全国で初めて1000円を超えることが分かりました。石破茂首相は、「賃上げが成長戦略の要という基本的な考え方が浸透し着実に成果をあげている」と発言しましたが、現場では経営への打撃など副作用が懸念されています。
《詳細》
2025年度の最低賃金は、5日の発表で全国の加重平均が1121円となり、24年度より66円上昇して、過去最大の引き上げ幅となりました。国が「2020年代に1500円」という目標を掲げ、24年から63円(6%増)という過去最高水準の引き上げ目安を示し、補助金の対象拡大を訴えていたことが大きく影響しています。
しかし、給与を払う雇用者側の反発は大きく、各地の審議会では雇用者側の負担軽減が最大の焦点となりました。通常、最低賃金の改定は10月に発効しますが、今年度は27府県が11月以降にずれ込むことが決まり、福島、徳島、熊本、大分は1月、群馬、秋田は3月にずらします。急激な引き上げが社会保険料の扶養から外れることを危惧しての年末の働き控えにつながったり、賃金体系の変更に時間がかかることなどが理由とされています。
日本商工会議所の小林健会頭は5日の記者会見で、人件費の高騰に耐えられない企業が倒産する可能性を指摘し、「上げ幅が急すぎるとけが人が出る」と、引き上げ幅が企業の支払い能力を超えることを危惧。最低賃金の決め方に制度疲労が出てきていると指摘しています。
また、第一生命経済研究所の調査によると、急激な最低賃金の上昇は食料品価格の値上がりにつながりやすく、賃金上昇が緩やかな現役世代にとってはかえって財布を直撃する恐れがあるといいます。
《どう見るか》









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