東日本大震災の復興基本法が20日午後の参院本会議で採決され、民主、自民、公明3党の賛成多数で可決、成立した。
同法は、(1)復興事業の財源を確保するための「復興債」を発行(2)内閣に「復興対策本部」の設置(首相を本部長とする)(3)復興施策の企画立案から実施までを担う「復興庁」の設置(4)被災地域に「復興特区」を創設――などが柱となる。菅直人首相は、同法成立を受け、復興担当相を指名する。
95年の阪神・淡路大震災のときには、震災発生から1カ月余りで復興基本法が成立したが、今回は、それより2カ月も遅い102日目での成立となり、いまだに被災者が避難所生活を余儀なくされているにもかかわらず、相変わらずの悠長さにあきれる。
また、復興債は、今年度の1次補正予算の財源に転用された基礎年金の財源の穴埋めに充てられることも協議されており、復興事業の財源という本来の目的のために使われるのか疑問が残る。
さらに、「復興対策本部」「復興庁」のほか、20日の本会議では、政府が復旧・復興に取り組む「現地対策本部」を被災地に設置することも承認されており、新たな組織がつくられ続けている。現在すでに設立されている20の組織でさえうまく回っていないのに、さらに組織を増やすことにどれだけ意味・効果があるのか極めて不明だ。特に、菅首相が本部長となる復興対策本部は機能しないであろうことは、これまでの菅首相のリーダーシップの欠如やその場しのぎの言動からも明らかだ。(吉)