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これまで「脱原発」が叫ばれていた欧州で、原発の新規建設計画を進める国が増えています。
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スウェーデン議会は21日、新規原発建設の資金を支援する法案を可決しました。「再生可能エネルギー大国」として知られるスウェーデンはもともと、1980年の国民投票で「原発の段階的廃止」を決めていました。しかし、ウクライナ戦争を機にエネルギー供給の不安が高まり、23年に政府は「原発の新設」へと方針を転換。今回の法案は、その計画を後押しするものです。
2003年に「脱原発」を宣言していたベルギーでも15日、議会が脱原発政策を廃棄し、「原子炉新規許容法」を成立させました。
新設の原発として近年、注目を集めているのが、次世代の原発「小型モジュール炉(SMR)」です。SMRは既存の原子炉と比べ運転効率が高く建設時間もかからないことから注目が集まっており、かねてより中国やロシア、インドなどが開発・建設を進めてきました。
アメリカでも、米エネルギー省が3月、出力5万~30万キロワットの小型原発の開発に9億ドル(約1300億円)を支援すると発表しました。同省のクリス・ライト長官は「我々は、待望の原子力ルネサンスに取り組んでいる」と宣言しています。
カナダも今月、小型原発の建設計画を許可したと発表。前述のスウェーデンをはじめ、原発を禁止してきたデンマークや、原発を持たないクロアチアなども、SMRの導入に意欲を示しているといいます。
日本政府は、今年2月に閣議決定した「第7次エネルギー基本計画」の中で、「原発依存度の可能な限りの低減」の文言を削除し、新設・増設については、廃炉を決めた電力会社が別の原発敷地内に建設することを「建て替え」として容認しています。これを受けて、九州電力は5月、新たな原子力発電所の建設を検討すると発表しました。
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