《ニュース》
日本の芸術系・美術系大学に通う留学生のうち、7割程度が中国人であることが、各大学の統計で明らかになりました(3月21日付産経新聞電子版)。
《詳細》
各大学の公表情報によれば、令和6年5月時点(通信教育課程は除く)で、京都精華大学は全留学生1273人中、中国人が909人。京都芸大は872人中692人、武蔵野美術大は703人中462人、東京芸術大は352人中245人などと、いずれも7割程度に達しているといいます。
中国人留学生の実数・割合はいずれの大学も増加傾向にあり、京都芸大に関しては、直近10年で11倍以上に上っています。
増加の背景にあるのが、日本での「永住権」取得制度です。日本政府は2017年、研究者などの「高度外国人材」を対象に、永住権申請に必要な日本での滞在期間を従来の5年から、1~3年に短縮。合わせて、日本のゲームやアニメ、ファッション・デザイン、食関連といった「クールジャパン産業」に関わる外国人には、「就労ビザ」取得のハードルを事実上引き下げるなどの優遇策も決定しました。
この高度外国人材の審査についても、日本の大学を卒業し、継続して働いていれば、ハードルは特に高くはないといいます。こうして、広くデザイン系の仕事への就職が、実質的な日本永住への近道とみなされたことが、留学生増加の背景とみられています。
また、高度人材ビザ制度に詳しい日本の弁護士は産経新聞の取材に対し、「就職から技人国(技術・人文知識・国在業務ビザ)、技人国から高度人材ビザを経て、最終的に永住権を得るという流れや仕組みを、中国人留学生が個人レベルで十分に把握できているとは考えにくい」「日中双方で、留学や就労を斡旋するブローカーのような立場の人間が介在し、学生らに指南している可能性がある」と指摘しています。
近年、芸大・美大にかかわらず、中国人留学生の数が増加しています。1998年には約2万3000人だったのが、2023年には約11万5000人に上り、留学生全体の半数近くを占めています。東京大学においても、学生全体の1割以上、留学生全体の7割弱が中国人だといいます。こうした流れを受けて、中国人向けの日本語学校や予備校なども増えています。中国に比べて学費が安く、欧米よりも留学費用がかからないことなどから、日本は選ばれやすいと言われています。
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