2025年3月号記事

第9回

釈量子の宗教立国への道

幸福実現党党首が、大川隆法・党総裁による「新・日本国憲法 試案」の論点を紹介する。

釈量子

幸福実現党 党首

釈 量子

(しゃく・りょうこ) 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から現職。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
https://shaku-ryoko.net/

「神の正義」を知らぬ国は護られない

第五条

新・日本国憲法 試案〔第五条〕

国民の生命・安全・財産を護るため、
陸軍・海軍・空軍よりなる防衛軍を組織する。
また、国内の治安は警察がこれにあたる。

新・日本国憲法 試案
『新・日本国憲法 試案』
大川隆法著
幸福の科学出版
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憲法試案〔第五条〕は「国防と治安」に関する条項です。これらは国家の存立に欠かせない責務であり、〔第十一条〕で掲げられる「小さな政府」の代表的機能です。

重要なのは「防衛軍」という言葉が明記されていること。「軍隊ではない」建前の「自衛隊」とは一線を画し、〔第一条〕の「世界平和実現のため、積極的にその建設に努力せよ」という理念を実現する決意を、具体化するものです。

自衛隊は"国内向け"には「軍隊ではない」ことになっていますが、実際は22万人以上の自衛官がおり、護衛艦や戦闘機など高度な装備を持ちます。米軍とも共同訓練を行う立派な軍事組織です。

ゴマカシを排し防衛軍創設を

しかし現行憲法が「戦争放棄」「戦力不保持」「交戦権の否認」を掲げるため、「白馬は馬にあらず」型の論法で、「嘘」がまかり通ってきました。こうした姿勢や法制では国民を護れないとして、大川総裁は一貫して「正直であるべきだ」と、訴えてきました。

大川総裁は1997年時点で「現在ある存在を素直に肯定し、勇気を持って、国民の知恵によって軍隊を管理し、自衛権を有効に使っていくことが大事」と提言(*1)。12年後には幸福実現党を立党し、全体主義・無神論国家から国民を守る憲法改正や防衛強化を訴え続けました。それは「宗教家が『国を守れ』と主張するのは、戦争をしたいからではなく、国民を護りたいからである」(*2)という心からです。

しかしこの国は丸腰状態を変えられないまま、戦後80年を迎えようとしています。目の前で香港の自由が踏みにじられ、台湾・沖縄にも脅威が迫るなか、自民党も「集団的自衛権行使容認」や、自衛隊の存在を明記するゴマカシの「加憲案」でお茶を濁したまま。アメリカが対中強硬派のトランプ政権になっても、自主防衛から逃げ続けるなら、国家存亡の危機が近づくのが因果でしょう。

(*1)月刊『幸福の科学』1997年6月号掲載論考「憲法第九条改正案について」
(*2)大川隆法著『平和への決断』(幸福の科学出版)

日本は護られるべき国か

なぜこの国は変われないのか。根本的な原因は、私たち日本人の心にあります。

戦後、無神論国家となった日本では、平和憲法が「宗教に代わる代替物、疑似宗教」(*1)として洗脳されてきました。

さらにその淵源には、日本の国民性そのものに流れる「妖怪性」という傾向性があると、大川総裁は明かしています。「普遍的な善悪観念」に欠け、そこから論理的に国や人生の在り方を判断できない。何につけても議論が堂々巡りし、責任の所在が分からないまま空気の支配で動く──文字通り"妖怪"と形容されるような人たちが政界で大手を振っていますが、こうした国民性は"保守"とされる政治の限界にもなっています。

さらに歴史を遡れば、聖徳太子がこの国に仏教を導入した時代に行き着きます。民族神系統の勢力が「思いや行いの善悪に応じて天国や地獄へ行く」という「因果応報」の価値観についていけず、歴史の裏で思想的対立が続いてきたのが日本の精神世界の真相です(*3)。その根源には、世界宗教で説かれてきた「造物主」という概念や信仰がなく、「御利益信仰」的な宗教観が多数を占めてきたことがあるといいます。

大川総裁は日本人に、「あまりにも卑怯でありすぎた。あまりにも無責任でありすぎた。あまりにも『正義とは何か』ということを考えなさすぎた。これについては国民各位に深く反省を迫りたいと思います。あまりにも『善悪というもの』に対して無頓着でありすぎたのです」(*4)と猛省を促しています。「敵の監獄の中に入ればもう襲われることはない」として、無神論・全体主義の中国や北朝鮮に白旗を揚げるなら、日本は「甘んじて滅びる」(*5)運命をたどることになります。

つまり国を護れるかという問題も、最後は、「神仏に愛されるような精神性を持った国に生まれ変われるかどうか」にかかっていると痛感します。心を変えることで国造りを行う「真の宗教立国」に向けて、なお、一歩を進めて参ります。

(*3)大川隆法著『妖怪にならないための言葉』(幸福の科学出版)など。
(*4)《大川隆法政治講演集2009第2巻》『光と闇の戦い』(幸福実現党刊)
(*5)大川隆法著『釈尊の未来予言』(幸福の科学出版)

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日本には防衛軍が必要。