《ニュース》
台湾メディアは8日、台湾の検察当局が昨年8月、中国の台湾侵攻に合わせて台湾内で武装蜂起する組織をつくろうとしていたなどとして、台湾の退役軍人7人を国家安全維持法違反などの疑いで起訴していたと報じました。
《詳細》
台湾誌「鏡週刊」や台湾紙「自由時報」などによると、主犯は台湾の親中派政党・復康連盟党主席(党首)の屈宏義被告。同被告は台湾陸軍を退職後、中国で事業を行い、2019年に「深セン市新四軍研究会」という中国共産党組織の関係者と知り合いました。そして中国側から資金提供を受けることの見返りとして、台湾の現役・退役軍人を取り込んで武装組織をつくることを求められました。
屈被告は台湾の退役軍人6人を組織に勧誘し、幹部に据えました。そして2023年に復康連盟党を立ち上げ、今年1月の立法委員選に3人の候補を出馬させました。いずれも落選していますが、中国側から1000万円近い資金を受け取っています。屈被告は復康連盟党の武装組織化を図っていたとも報じられています。
また、屈被告らは、台湾の軍事施設と米国在台協会台湾事務所の写真と、座標などを含めた地理情報を中国側に提供。攻撃目標にするためだったと見られています。また台湾有事の際には、中国人民解放軍10万人を台湾に引き入れることも画策していたといいます。
台湾国防部系シンクタンク「国防安全研究院」国防戦略・資源研究所の蘇紫雲所長は、米ラジオ・フリー・アジアの取材(8日付)で、これは典型的なスパイ活動であり、中国側が現地の協力者を育て、扇動して、武力反乱を起こさせようとしたと指摘しました。
中国側にとって、軍事基地や領事館などの衛星地図を入手することは難しいことではありませんが、蘇氏は「座標、『準軍事作戦』的なアプローチ、そして探し出した集団が訓練を受けたプロの元軍人たちであり、正規の軍事計画の様式で計画を立てているという事実が加われば、このような作戦の脅威はより大きくなります。組織が解体されなければ、武力や自作の火力(爆発物)で追撃される可能性があります。ハマスのように、自家製ロケット弾を製造して標的を攻撃するようなことは、民主主義国家では許されることではないでしょう」などと述べています。
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